
沖ノ鳥島EEZ内で中国調査船が無断活動 日本の海洋主権を無視する常習的挑発行為
日本の排他的経済水域(EEZ)において、中国の海洋調査船が事前の同意もなく活動を行っていたことが明らかになり、外交・安全保障の両面で深刻な波紋を呼んでいる。現場は日本の最南端・沖ノ鳥島の東方およそ270キロ。2025年5月26日夕方、海上保安庁が発見したのは、調査機器を思わせる装置を海中に伸ばしながら航行する中国の調査船「嘉庚」だった。
主権侵害とも言える中国の常習行為
この中国調査船は、日本のEEZ内での活動に関して何ら正当な手続きを経ず、通知や承認もないまま調査行動を開始。国際法では、他国のEEZ内での調査活動は原則として事前同意が必要とされている。にもかかわらず、同船は約5時間もの間、日本の警告を無視して行動を続けたとみられる。
中国側はこれまでも同様の行動を繰り返しており、今回のような無断調査は過去10年間で少なくとも9件目となる。つまり、これは偶発的なミスではなく、意図的な主権侵害、あるいは地域におけるプレゼンス誇示の一環と見なさざるを得ない。
中国に対し“強く抗議すべき”との世論
こうした挑発的行為に対して、政府は厳重な抗議を行う姿勢を示しているが、果たしてそれだけで十分なのか。海洋国家としての日本の姿勢が問われている。専門家の間では、「日本政府のこれまでの抗議だけでは中国にとって痛くもかゆくもない」との指摘もある。
ネット上でも反応は強く、以下のような声が上がっている。
「また中国が勝手にEEZに入ってるのか。もう断固たる処置を取るべきでは?」
「パンダ外交など行っているがこれが現実。現実を見るべき。」
「自国の海を守る覚悟があるのか、政府は毅然とした対応を示してほしい」
「中国にとっては“日本の出方を見る試金石”になっているのでは」
「事実上の海洋覇権を許せば、次は尖閣だ。今ここで止めなければならない」
国際秩序に挑戦する中国の“既成事実化”戦略
沖ノ鳥島周辺での中国船による無断調査は、日本固有の権利を軽視するだけでなく、国際的な海洋秩序そのものに対する挑戦である。中国は、南シナ海や東シナ海においても“サラミ戦術”と呼ばれる既成事実化を繰り返してきた。
今回の行動も、その延長線上にあると見られており、日本の対応次第では、将来にわたって深刻な悪影響を及ぼす可能性がある。単なる“注意喚起”や“抗議”ではなく、断固とした外交措置、さらには防衛・警備体制の強化を通じた実効的な牽制が不可欠だ。
日本のEEZと海洋権益を守るために
現在、海上保安庁が引き続き現場海域での警戒を強化しているが、限られた人員と予算の中では対応に限界があるのも事実だ。今後は、EEZ内の権益保護を目的とした法整備、専用の監視艦艇やドローン配備、海洋警察力の抜本的強化が急務である。
また、国際社会への訴えも欠かせない。中国の一方的な海洋拡張行動がアジア太平洋地域の安定を脅かすものであることを、日米を中心とした多国間協力の枠組みで周知し、国際圧力を強める必要がある。
日本の排他的経済水域での中国の行動は、単なる調査ではなく、日本の主権と国際秩序に対する挑戦である。外交辞令ではない実効的な対応こそが、今後の海洋安全保障における最大の鍵となる。