沖縄で中国人観光客の不正国際免許使用が発覚

近年、沖縄県において、中国人観光客が不正に取得した可能性のある国際運転免許証を使用してレンタカーを利用する事例が確認されています。これは、道路交通法違反(無免許運転)に該当する可能性があり、警察やレンタカー業界は対応に苦慮しています。

2016年12月、30代の中国人女性が沖縄旅行を計画した際、中国の大手ネット通販サイトを通じてフィリピンの国際運転免許証を取得しました。彼女は中国国内の免許証のコピーや顔写真を提出し、約4万円を支払った後、1ヶ月ほどで免許証が沖縄の滞在先に郵送されました。この免許証を用いてスポーツカーを借り、本島一周を楽しんだといいます。

しかし、2025年1月に日本の報道番組で、同様の手法で取得された不正な国際運転免許証の問題が報じられ、彼女は「もう使ってはいけない免許証なんだ」と認識しました。その後、同様の免許証を扱う業者は減少傾向にあるとされています。

道路交通法によれば、外国人が日本で運転するためには、以下のいずれかの免許証が必要です:

  1. 日本の免許証
  2. ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証
  3. 日本と同等の免許制度を有する国・地域(例:台湾)の免許証

中国はジュネーブ条約に加盟していないため、中国の免許証のみでは日本での運転は認められません。

しかし、韓国などのジュネーブ条約加盟国に滞在し、その国の免許証と国際運転免許証を取得することで、日本での運転が可能となる場合もあります。フィリピンはジュネーブ条約加盟国であり、正規の手続きを経て取得した国際運転免許証であれば、日本でも有効です。

一部の中国人観光客は、ネット上の代行業者を通じて、フィリピンの国際運転免許証を取得しています。この手法では、中国の運転免許証を基にフィリピンの運転免許証を取得し、その後、国際運転免許証を発行するという流れです。しかし、フィリピンに実際に渡航せず、現地の住所を使用して免許証を取得するケースもあり、これらの免許証の正当性には疑問が残ります。

例えば、岐阜県下呂市で発生した中国人観光客によるレンタカー事故では、運転者がどのように免許証を取得したのかが問題となりました。中国はジュネーブ条約に加盟していないため、中国の運転免許証では日本での運転は認められません。このため、第三国での免許取得や偽造が疑われています。

レンタカー業界は、不正に取得された可能性のある免許証を識別するため、チェック体制を強化しています。警察庁も関係省庁や全国レンタカー協会と連携し、実態把握に努めています。

この問題の背景には、中国の運転免許取得制度の問題も指摘されています。中国では運転免許の取得が比較的容易であり、運転技術が未熟なまま免許を取得するケースがあるとされています。そのため、日本での運転に不安を感じ、他国の国際運転免許証を取得しようとする動機が生まれると考えられます。

このような状況を踏まえ、レンタカー業界や関係当局は、外国人観光客が適切な免許証を所持しているかを確認する体制の強化や、観光客への適切な情報提供を行うことが求められています。また、観光客自身も、自国の免許証が日本で有効かを事前に確認し、適切な手続きを経て運転することが重要です。

さらに、国際的な取り組みとして、各国の運転免許証の相互承認や、国際運転免許証の発行手続きの厳格化などが検討されるべきです。これにより、不正な免許証の流通を防止し、交通安全の確保につながると考えられます。

総じて、外国人観光客による不正な国際運転免許証の使用は、交通安全や法的な問題を引き起こす可能性があり、関係者全体での協力と対策が求められています。

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