【日本医師会と政治家の蜜月関係】 1000万円単位の献金が示す政治力と医療改革への影響

日本医師会(日医)は、約18万人の医師で構成される日本最大の圧力団体であり、傘下の政治団体・日本医師連盟(日医連)を通じて活発な政治活動を展開している。その強大な政治力と資金力を背景に、自らの利益となる政策を推進し、不都合な制度改正を阻止している。

高額な政治献金

日医連は、政治家への高額な献金を行い、その影響力を強化している。2021年9月、日医連は岸田文雄首相の政治資金管理団体に1000万円を献金した。また、同年冬には、当時財務相を務めていた麻生太郎氏の派閥に、日医連の関連団体から計5000万円もの献金が行われていた。

パーティー券の大量購入

さらに、日医連は有力議員のパーティー券を大量に購入し、実質的な献金を行っている。一回当たりの金額が20万円以下であれば政治資金収支報告書に購入者名を記載する義務がないため、パーティー券の形で事実上の献金を行うケースが増えている。

厚労省との密接な関係

日医は、厚生労働省(厚労省)との密接な関係も築いている。省内で異動があると、局長クラスは日医会館まで挨拶に行くのが慣習となっており、政治家と通じている日医に逆らうことが難しい状況となっている。

診療報酬改定への影響

日医の影響力は、診療報酬の改定にも現れている。2024年度の診療報酬改定では、財務省が診療所の利益率の高さを理由に値下げを主張したが、最終的には日医の意向が反映され、0.88%のプラス改定となった。

医療改革への影響

また、日医は医療改革にも影響を与えている。かかりつけ医制度の導入を目指していた厚労省に対し、日医は「医療へのフリーアクセスが損なわれる」と反対し、長らく実現しなかった。そのため、コロナ禍では診療所を閉めた開業医が多かったため、地域医療が機能せず、総合病院に負担が集中した。

国民への影響

日医の影響力が強まる中、医療費の高止まりや改革の遅れが国民にとっての負担となっている。高齢者の増加に伴い、医療へのニーズが減少する予想があるが、日医の力が強く改革が進まなければ、医療費が思うように下がらず、国民は今以上の負担に苦しむ可能性がある。

このように、日本医師会と政治家の密接な関係は、医療政策や制度改定に大きな影響を与えており、その影響力の行使が国民全体の利益にどのように作用しているのか、今後の議論が求められる。

この記事は「1000万円単位で献金をバラまく…日本医師会と大物政治家の「蜜月ぶり」を明かそう」を元に記述しています。

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