東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、東京地裁は2025年1月30日、電通グループに罰金3億円、元スポーツ局長補の逸見晃治被告(57)に懲役2年、執行猶予4年の判決を言い渡した。
事件の概要
この事件では、組織委員会が発注した以下の3つの業務で受注調整が行われたとされる。
- テスト大会の計画立案業務(競争入札)
- テスト大会の実施業務(随意契約)
- 本大会の運営業務(随意契約)
受注金額は総額約437億円にのぼるとされる。
主な関与者と役割
- 逸見晃治被告:電通元スポーツ局長補。組織委元次長と共謀し、受注調整の中心的役割を果たしたとされる。
- 組織委元次長:受注企業を割り振る方針を伝え、他社の入札資料を提供したと指摘されている。
検察側は、逸見被告が大会組織委員会元次長と共謀し、競技ごとの落札業者を割り振ったリストを作成し、テスト大会と本大会の業務を一体のものとして受注調整を行ったと指摘している。
判決の内容
- 電通グループ:法人としての電通グループに対し、罰金3億円が言い渡された。
- 逸見晃治被告:懲役2年、執行猶予4年の判決。
弁護側は、組織委の意向に従ってリストを作成したと主張し、テスト大会の計画立案業務に関しては違法性を認めたが、随意契約だった本大会の運営業務などに関しては無罪を主張していた。
他の関与者の判決
- 博報堂:罰金2億円の有罪判決が言い渡されている。
- セレスポ:イベント制作会社セレスポに罰金2億8千万円の有罪判決が出ている。
いずれも控訴している。
この事件は、東京五輪・パラリンピックに関連する業務での談合が明らかになり、広告業界やスポーツ業界に大きな衝撃を与えた。
また、東京五輪を巡る談合事件は、日本の国際イベント開催に対する信頼を損ない、札幌市の冬季五輪招致活動の停止や2025年大阪万博の機運の低調にも悪影響を及ぼしていると考えられる。
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