和牛卸売価格、3年連続下落 需給過多と消費者の節約志向が影響

和牛肉卸値が3年連続下落、需給のバランス崩れる

2024年、和牛の卸売市場において、平均取引価格が3年連続で下落しました。東京都中央卸売市場のデータによれば、2024年の和牛平均単価は1キログラム当たり2,451円となり、前年比1%の減少です。この価格下落は、新型コロナウイルス禍後の一時的な上昇を経て、需給バランスが崩れた結果といえるでしょう。

高価格帯への需要低迷、消費者の節約志向が影響

実質賃金の伸び悩みと高価格帯への需要低迷が背景にあります。消費者の節約志向が強まる中で、高価格な和牛の需要は鈍化。畜産農家は高値を見込んで生産を増加させましたが、結果的に市場は供給過多に陥り、価格が下落しています。

需給予測、2024年末の成牛と畜頭数は前年並み

農畜産業振興機構の需給予測によれば、2024年12月の成牛と畜頭数は109.5千頭で前年並みとなり、内訳は和牛が58.1千頭、交雑牛が24.5千頭、乳牛去勢が10.6千頭となっています。しかし、12月の成牛と畜頭数は前年を下回る見込みで、1月の出荷頭数も減少すると予測されています。

輸入牛肉の増加、需給に影響

輸入牛肉の状況も需給に影響を与えています。2024年11月の輸入実績は34.6千トンで前年を上回り、特にフローズンの輸入が増加しています。豪州、米国、メキシコからの輸入が増えており、国内の和牛市場にさらなる圧力をかけています。

消費者支出の減少、和牛A5ランクの需要低迷

家計調査によると、2024年11月の全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は前年比で増加しましたが、支出金額は前年を下回り、和牛A5ランクなど高級和牛の需要は依然として低迷しています。消費者の節約志向が影響しており、高価格帯の和牛に対する需要は見込めません。

畜産農家の経営課題、後継者不足と高コスト問題

畜産農家の経営にも課題が浮き彫りとなっています。繁殖経営の後継者不足が深刻化し、7割の農家が後継者不在の状態。さらに、過度の輸入飼料依存や高コスト構造が問題視されています。これに対する解決策が急務となっています。

和牛業界、需給調整と価格見直しが鍵

和牛業界では、供給過多による価格下落を防ぐため、需給調整と需要喚起策が検討されています。また、消費者の節約志向に対応するため、和牛の価格帯の見直しや販促活動の強化が求められています。畜産農家の経営安定化には、後継者育成やコスト削減が不可欠です。

和牛肉卸値が3年連続下落 高値見込み供給過多に

関連記事

おすすめ記事

  1. 届け出なしで堂々営業 無許可民泊の“グレーゾーン” 民泊は観光地不足の救世主として歓迎される…
  2. 中国人移住に「民泊」という選択肢 大阪で急増、SNSが背中押す 「民泊経営で日本に移住できる…
  3. 中国旗と宮崎の水源
    外国資本が宮崎の森林717haを取得 中国語話す代表に住民や議会から不安の声 宮崎県都城…
  4. 米国、輸入自動車に25%の関税を正式発表 米国のドナルド・トランプ大統領は3月26日、輸入自…
  5. 減税は日本経済の処方箋になるか? ――インフレ恐怖と古い経済学から脱却を 私たちの…

新着記事

  1. ホワイトハウスワシントン2025年7月7日 石破茂 閣下日本国総理大臣東京 親愛なる総…
  2. 各党が選ぶ「物価高対策」その最優先課題とは? 物価上昇が家計を直撃するなか、2025年の参議…
  3. インドネシア・レウォトビ火山が大規模噴火 日本の気象庁が津波の影響を精査中 7月7日正午すぎ…
  4. 【紅海の緊張高まる】イスラエル軍、イエメン空爆 日本郵船の「ギャラクシー・リーダー」も標的に …
  5. 【参議院選挙の投票方法】初めてでも安心!流れや注意点を解説 2025年7月に実施される第27…
  6. 参院選2025 各党の安全保障とエネルギー政策を徹底比較 7月に控える第27回参議院議員通常…
  7. 年少扶養控除・子ども手当(児童手当)
    年少扶養控除とは? 年少扶養控除はかつて存在した税制対象 「年少扶養控除」とは、その名…
  8. 参院選2025:注目すべき「コメ政策」 各党のアプローチを徹底解説 今年7月20日の参院選で…
  9. 2025年参院選 各党の物価高対策を徹底比較|消費税・給付金・減税案の違いとは?
    【物価高にどう立ち向かう?】2025年参院選、各党の公約を比較 消費税・給付金の対応が分かれ道 …
  10. 参院選の争点「外国人政策」 各党の公約から見える日本の将来像 2025年の参院選では、「外国…
ページ上部へ戻る