
米国が自動車部品にも追加関税 国内移転狙い、日本への影響広がる
トランプ米政権は現地時間の5月3日未明(日本時間同日午後)、自動車のエンジンやトランスミッション、電子制御部品などに対して25%の追加関税を発動した。4月に完成車への関税をすでに導入しており、今回はその対象が部品にまで拡大された形だ。これにより、日本の自動車関連産業への影響が一段と広がるとみられている。
部品にも関税拡大 狙いは「米国生産への誘導」
今回の関税強化では、完成車に続き、車の心臓部とも言えるエンジンや変速機、制御用の電子部品までが新たな対象となった。ただし、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で「北米産」と認定される部品には関税は課されないとされている。
米政府の狙いは明確だ。関税によって海外部品の調達コストを押し上げ、その分、企業に米国内への供給網移転を促すという政策だ。米自動車メーカーからの要望もあり、関税の影響を緩和するための措置として、米国内で生産される車両については最大15%程度のクレジット還付が設けられる見通しだ。
日本企業に重い打撃 業界は戦略見直しを迫られる
今回の関税措置は、完成車だけでなく部品産業にも大きなインパクトを与える。日本の自動車メーカーや部品メーカーの多くは、米市場に大量の部品を輸出しており、サプライチェーンの一部が直撃される形となる。
実際、日本の工業生産は3月に前月比で1.1%減少。中でも自動車生産は約6%のマイナスとなった。背景には、輸出の減少や米国市場の先行き不安がある。国際貿易センター(ITC)によると、日本の自動車関連輸出は年間最大2.5兆円近くの打撃を受ける可能性もあるという。
交渉続くも難航 日本政府は「見直し」求める
1日に行われた日米関税協議では、赤沢亮正・経済再生担当相が自動車部品への関税発動を控えるよう米側に申し入れたが、米国は予定通り3日に実行に移した。
赤沢氏は「供給網の柔軟性が損なわれ、日本企業への影響が大きい」と述べ、引き続き協議を続ける姿勢を示しているが、トランプ政権は自国産業保護を最優先しており、交渉は難航が予想される。
今後の焦点 「脱・米依存」と生産体制の見直し
日本の自動車メーカーにとって、これまでの「米国中心」の輸出構造を見直す時が来ている。経済アナリストの間では、東南アジア諸国や欧州など、他の市場への転換を図るべきだという声も強い。
また、日本国内における生産・輸出の在り方そのものを問い直す必要も出てきた。企業の柔軟な対応力が、今後の国際競争を左右することになりそうだ。
参考サイト
<a href="https://www.sankei.com/article/20250503-LE3B47OPL5MRBEYQYPOD7PBFQE/" target="_blank" rel="noopener" title="">米、自動車部品に25%の関税発動 生産移転促す 日本の関連産業への打撃懸念</a>