外国人運転免許切替制度を厳格化へ 住民票提出を原則化、筆記試験も見直し

外国人運転免許切替に新たな基準案 警察庁が厳格化方針
住民票提出を原則化へ、筆記試験も見直し対象

外国人が母国の運転免許を日本のものに切り替える「外免切替」制度について、警察庁が制度の見直しに乗り出す方針を示した。外国人ドライバーによる重大事故の発生を受け、住所確認をより厳格にし、筆記試験の難易度も高める方向で検討が進められている。

【ホテル住所で免許取得?制度の甘さに批判】

現在の外免切替制度では、短期滞在の外国人がホテルなどの滞在先を住所として登録し、日本の免許を取得するケースも可能とされてきた。さらに、住所確認に必要な書類としては、住民票を持たない場合でも、パスポートや一時滞在証明書などの提出で足りるとされていた。こうした緩い運用が一部で悪用されていた可能性がある。

警察庁は今回、原則として「住民票の写し」による住所確認を必須とする案を示した。国外に住む日本人や外交官などの特殊な例を除き、これまでの柔軟な対応は見直される見通しだ。

繰り返される事故、制度見直しの契機に

制度見直しの背景には、外免切替によって日本の免許を取得した外国人による重大な交通事故が相次いでいる現状がある。

たとえば、三重県亀山市では新名神高速道路を逆走し、6台が絡む事故を起こしたペルー人の男や、埼玉県三郷市で児童に車で突っ込み、そのまま逃走した中国人の男も、外免切替によって日本の免許を手にしていたことが明らかになった。いずれも社会に大きな衝撃を与える事件となった。

自民党の小野寺五典政調会長は、「安心して暮らせる社会の前提は、安全な交通環境にある」と語り、制度見直しの必要性を強調した。

筆記試験は簡単すぎる?厳格化へ

また現在、外免切替の筆記試験は10問のイラスト問題のみで、7問正解すれば合格という内容だ。交通法規に対する理解度を測るには十分ではないとの指摘が以前からあり、今回の見直しでは、問題数を増やすなど、内容の厳格化も含まれている。

今後の案では、国際的にスタンダードな交通ルールの理解に加え、日本固有の交通ルールやマナーについても問う形式が導入される可能性が高い。

政権与党内からも加速の声

21日に開催された自民党の特命委員会では、制度改正の早期実現を求める声が相次いだ。視察に訪れた新藤義孝政調会長代行は、「警察庁はこれまでも制度改善を模索してきたが、これ以上の先送りは許されない」と述べ、早急な結論と実行を促す考えを示した。

この会合の前には、東京都内の運転免許試験場も視察され、現場の課題についても意見交換がなされたという。

見直しの先に求められる「共生」のバランス

制度の見直しが進めば、短期滞在や一部の留学生らにとっては、免許取得のハードルが高まることになる。一方で、日本国内で安全に暮らすすべての人の安心を守るには、一定の規律が必要だという見方も根強い。

制度のあり方については、利便性と安全性、そして公平性のバランスをどこに見出すかが今後の大きな焦点となるだろう。警察庁は2025年度中にも制度改正の具体案をまとめ、関係機関と連携しながら法整備を進めていく方針だ。

SNS上の声

「ようやく動き出したか。遅すぎるくらいだ」
「ホテルの住所で免許が取れるなんて、日本の制度が甘すぎる」
「差別じゃなくて、安全のために当然の見直し」
「事故が起きてからじゃ遅い。ルールは厳しくあるべき」
「真面目に運転してる外国人もいるから、線引きは丁寧にしてほしい」

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