令和6年、外国人の在留資格取り消し1184件 ベトナム人が最多、不法在留や偽装結婚が主要原因

令和6年(2024年)における外国人の在留資格取り消し件数が1184件に上ったことが、出入国在留管理庁のまとめで明らかになりました。前年と比較して56件(4.5%)の減少となりましたが、その内訳は国籍・地域別、在留資格別、取り消し理由別に多様な傾向が見られました。

国籍・地域別の取り消し件数

国籍・地域別では、ベトナムが784件(66%)と最も多く、以下の国・地域が続きました。

  • 中国:109件(技能実習、技術・人文知識・国際業務、留学など)
  • ネパール:60件(留学、技術・人文知識・国際業務など)
  • インドネシア:49件(技能実習、留学など)
  • カンボジア:33件(全て技能実習)
  • スリランカ:33件(技術・人文知識・国際業務、留学など)
  • ウズベキスタン:32件(留学、技能実習など)

在留資格別の取り消し件数

在留資格別では、以下のような分布となりました。

  • 技能実習:710件(60%)
  • 留学:312件(26%)
  • 技術・人文知識・国際業務(技人国):69件(6%)

取り消し理由と詳細

取り消しの主な理由とその詳細は以下の通りです。

  1. 技能実習生の失踪や留学生の除籍後の不法在留:技能実習生が実習先から失踪したり、留学生が学校を除籍された後、3カ月以上国内に在留していたケースが761件(64%)を占めました。
  2. 不法就労:留学生が学校を除籍後にアルバイトをしたり、技能実習生が失踪後に他の会社で働くなどのケースが303件(26%)ありました。
  3. 偽装結婚:「日本人の配偶者等」の在留資格を得るために、日本人と偽装結婚を行ったケースが72件(6%)報告されています。

企業への影響と対応

特に技能実習生の失踪や留学生の不法就労は、受け入れ企業にとっても重大な問題です。企業側は、在留資格の適切な管理や、労働条件の遵守、そして従業員の在留状況の確認を徹底する必要があります。また、外国人労働者を雇用する際には、入国管理法や労働基準法などの関連法規を遵守し、適切な労務管理を行うことが求められます。


令和6年の在留資格取り消し件数は、前年と比較して若干の減少が見られましたが、依然として多くの取り消しが発生しています。特に、技能実習生の失踪や留学生の不法在留、偽装結婚などの問題は深刻であり、関係者全員が法令遵守の意識を持ち、適切な対応を取ることが重要です。

関連記事

おすすめ記事

  1. 手ぶら観光の裏側で起きた“想定外”の迷惑行為 世界遺産・平等院が荷物預かりを中止した理由 観…
  2. 再生可能エネルギーの普及促進を目的とした「再エネ賦課金」が、国民の経済的負担を増大させているとの指…
  3. 台湾の海洋調査船「新海研二號」が、日本の排他的経済水域(EEZ)とみられる与那国島沖で、無断で調査…
  4. 日本の観光業とオーバーツーリズム:観光客数の増加とその影響 近年、日本の観光業は急速に成長し…
  5. 白タク・闇レンタカー・中国人専用風俗――観光立国ニッポンが食い物にされる日
    「中国人観光客が増えれば、日本経済が潤う」。そう語られることが多い昨今だが、本当にそれだけで済む話…

新着記事

  1. ホワイトハウスワシントン2025年7月7日 石破茂 閣下日本国総理大臣東京 親愛なる総…
  2. 各党が選ぶ「物価高対策」その最優先課題とは? 物価上昇が家計を直撃するなか、2025年の参議…
  3. インドネシア・レウォトビ火山が大規模噴火 日本の気象庁が津波の影響を精査中 7月7日正午すぎ…
  4. 【紅海の緊張高まる】イスラエル軍、イエメン空爆 日本郵船の「ギャラクシー・リーダー」も標的に …
  5. 【参議院選挙の投票方法】初めてでも安心!流れや注意点を解説 2025年7月に実施される第27…
  6. 参院選2025 各党の安全保障とエネルギー政策を徹底比較 7月に控える第27回参議院議員通常…
  7. 年少扶養控除・子ども手当(児童手当)
    年少扶養控除とは? 年少扶養控除はかつて存在した税制対象 「年少扶養控除」とは、その名…
  8. 参院選2025:注目すべき「コメ政策」 各党のアプローチを徹底解説 今年7月20日の参院選で…
  9. 2025年参院選 各党の物価高対策を徹底比較|消費税・給付金・減税案の違いとは?
    【物価高にどう立ち向かう?】2025年参院選、各党の公約を比較 消費税・給付金の対応が分かれ道 …
  10. 参院選の争点「外国人政策」 各党の公約から見える日本の将来像 2025年の参院選では、「外国…
ページ上部へ戻る