ニセコバブルに暗雲 中国系高級リゾートが建設途中で破産、骨組みのまま放置

ニセコバブルに黄信号 中国系高級リゾート建設が途中でストップ、破産手続き開始

北海道・ニセコで進んでいた大型リゾート開発が、建設途中で止まり、そのまま「骨組みだけ」の状態で放置される事態になっている。開発を手がけていた中国系企業が資金難に陥り、ついに破産手続きに入った。

建設中にストップ、ホテルは“骨組み”のまま

破産手続きの開始が決定されたのは、「La plume Niseko Resort特定目的会社」(東京都千代田区)。この会社は、219室の客室と5つの高級ヴィラからなる大規模リゾート「ニューワールド・ラ・プルーム・ニセコリゾート」を手掛けていた。

計画では、香港の不動産グループが出資し、同じく香港系の「ニューワールド・ホテルズ&リゾーツ」が運営を担う形で、ニセコでも最大級の高級ホテルとして2024年の開業を目指していた。

しかし昨年秋以降、現場の工事は完全にストップ。骨組みまでは組み上がっていたが、建設を請け負っていた建設会社への支払いが滞り、ついに施工業者が裁判所に破産を申し立てる形となった。

“ニセコバブル”の象徴だった計画が頓挫

このプロジェクトは、2020年12月に設立された特定目的会社が、数十億円規模の資金を投じて開発を進めていた。背景には、ニセコが海外の富裕層—とくにオーストラリア、中国、香港などの投資家—に人気を集める“冬の聖地”となっていた事情がある。

近年では円安の後押しもあり、ニセコの不動産価格は高騰。「ニセコバブル」とも呼ばれ、外資系リゾートが次々に開発を進める状況だったが、その勢いにもかげりが見え始めていた。

今回の破産劇は、そうしたブームに陰りを落とすものとして、地元でも波紋を呼んでいる。

現地から不安の声「このまま廃墟になるのでは」

工事が途中で止まった建物は、今もニセコの景観の中で“骨組みのまま”立ち尽くしている。地元住民からは「ひとつ廃墟ができると周囲の雰囲気まで悪くなる」と不安の声が上がっている。

SNS上でも、

「日本人には何も関係ないバブルだったな…」
「請負業者が金もらえずに倒産とかありそう」
「冬以外どうやって稼ぐつもりだったんだ?」

といった声が相次ぎ、冷ややかな空気が広がっている。

背景にある“チャイナマネー”の失速

今回の破綻は、単なるひとつのリゾート計画の失敗にとどまらない。背景には、中国本土や香港を含む中国圏の経済失速がある。特に不動産市場の不振や資金規制の強化は、海外投資にも深刻な影響を与えており、今回の件も「中国の民間資本がついに資金ショートした証拠」と見る関係者も少なくない。

さらに、米国による関税政策や中国国内での資本流出規制などが重なり、海外での大規模開発プロジェクトが止まるケースは今後さらに増える可能性も指摘されている。

ニセコの未来はどこへ向かうのか

ニセコの観光業は、依然としてオーストラリアやアジア各国の富裕層に支えられているが、近年は富良野や野沢温泉、白馬村といった他のスキーリゾートに関心が移りつつあるとの声もある。

“空白地帯”となった建設中の土地をどう活用するか。放置されれば景観を損ない、他の投資家の意欲を削ぐことにもなりかねない。逆に、新たな資本やアイディアを持つ企業が買収し、再スタートを切ることができれば、地域にとっての希望にもなりうる。

地元行政や観光協会にとっても、今回の件は大きな教訓となるだろう。外資頼みの一辺倒な開発ではなく、地元住民や企業と連携しながら、長期的な視点でのまちづくりが求められている。

  • 中国系資本が手がけるニセコ最大級の高級リゾートが建設途中でストップ
  • 破産手続き開始、原因は建設費未払いによる請負業者からの申し立て
  • 建物は骨組み状態で放置、2024年秋から工事中断
  • 背景には中国経済・不動産バブルの崩壊が影響
  • ニセコの観光戦略にも再考が迫られる

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