中国海警局の船、尖閣諸島沖で領海侵入を繰り返す 4隻が漁船接近

尖閣諸島沖、中国海警局の船2隻が新たに領海侵入 4隻に増加

2025年3月22日未明、沖縄県の尖閣諸島周辺で、新たに2隻の中国海警局の船が日本の領海に侵入した。これにより、すでに侵入していた2隻と合わせて、計4隻が日本の漁船の近くで航行している状況となった。海上保安本部は、船舶に対し直ちに領海から退去するよう警告を続けている。

漁船の近くで接近

海上保安本部によると、22日午前2時半すぎ、中国海警局の船2隻が尖閣諸島南小島沖合で日本の領海に侵入し、近くで操業していた日本の漁船に接近する動きを見せたという。午前5時の時点で、領海に侵入している中国海警局の船は、21日から侵入していた2隻と合わせて4隻となっている。

海上保安本部は漁船の安全を確保しつつ、船舶に対して退去を求める警告を続けており、事態を引き続き注視している。

中国海警局の活動の背景

中国海警局の船による領海侵入は、これまでも繰り返し発生してきた。2008年12月には初めて領海に侵入が確認され、その後も頻繁に接続水域や領海内で活動を行っている。特に2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化してからは、侵入が増加し、その度に日中間の緊張が高まっている。

中国海警法とその影響

中国は2021年1月に「海警法」を施行し、海警局の権限を強化した。この法律により、中国海警局は外国船舶に対して武器を使用する権限を持つようになり、今後、領海侵犯の際に強硬な措置を取る可能性が高まっている。この法律の施行後、尖閣諸島周辺での中国の活動がさらに活発になっている。

日本政府の対応と国際社会の反応

日本政府は、中国の領海侵入に対して強い抗議の意を示しており、外交ルートを通じて再発防止を求めている。しかし、こうした侵入は依然として続いており、国際社会でもこの問題についての関心が高まっている。特に、海警法の施行後、今後の対応について懸念の声も少なくない。

日本としては、冷静かつ毅然とした対応を続けるとともに、国際社会との連携を強化し、法の支配に基づく秩序を守ることが求められている。

今後の見通し

尖閣諸島周辺での中国海警局の活動は、日中関係の緊張を一層高める要因となっている。日本政府は引き続き、この問題に対して慎重かつ強固な姿勢で臨む必要があり、国際的な協力も重要な役割を果たすだろう。

尖閣諸島を巡る領有権問題は、単なる領土の争いにとどまらず、地域の安全保障や国際法に関わる深刻な課題である。今後も、この問題をめぐる動向を注視していく必要があるだろう。

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