再エネ賦課金、初の3兆円超え 来年度、世帯当たり年額2千円負担増 1万9千円

再生可能エネルギーを普及させるため、電気料金に上乗せされる「再エネ賦課金」の令和7年度分単価が、1キロワット時あたり3.98円に設定されたことが、経済産業省から21日に発表されました。この結果、標準的な家庭(毎月400キロワット時を使用)の場合、電気料金に月額1,592円、年額1万9,104円が追加されることになります。国民全体の負担は、年間で3兆634億円に達し、賦課金が初めて3兆円を超える見込みです。

今回の賦課金は、5月からの電気料金に反映され、今年度の賦課金単価3.49円と比べて0.49円の上昇となります。この引き上げにより、標準家庭の電気料金は月額196円、年額2,352円の負担増となります。国全体で見ても、2兆6850億円から約3,784億円の負担増が見込まれています。

再エネ賦課金は、平成24年からスタートし、再生可能エネルギーの普及に重要な役割を果たしてきました。しかし、その金額は年々増加しており、令和5年度にはウクライナ戦争の影響で一度は1.40円に減少したものの、令和6年度には再び引き上げられました。

経済産業省は、毎年、再エネ特措法に基づき、賦課金の単価を決定しています。今年度は、再生可能エネルギーの導入状況や卸電力市場の価格などを踏まえて、この金額が設定されたとのことです。再エネの導入が進む一方で、電気料金が負担にならないようなバランスが求められています。

今回の引き上げによって、家庭の負担が増えることになりますが、政府は今後も再エネの普及を進めるとともに、国民への負担を軽減するための方策を検討しています。また、電力会社も新たな料金プランを提供するなど、効率的な電力供給の仕組み作りを進めており、今後の動向に注目が集まっています。

再エネ賦課金が増加していく中で、再生可能エネルギーの普及と国民の電力料金負担をどう調整していくかが、今後の重要な課題となるでしょう。

関連記事

おすすめ記事

  1. 中国人移住に「民泊」という選択肢 大阪で急増、SNSが背中押す 「民泊経営で日本に移住できる…
  2. 日本を訪れる外国人観光客の数は年々増加しており、特に中国人観光客の訪日人数は目覚ましく、昨年は70…
  3. 「無償化」は本当に“タダ”なのか――社会保障と税負担のリアル 「社会保障の充実」は誰もが口に…
  4. コメ農家「時給10円」説のカラクリ 「コメ農家の時給は10円しかない」。 そんな数字を…
  5. ドナルド・トランプ米大統領は2日(日本時間3日)、ホワイトハウスで記者会見を開き、すべての輸入品に…

新着記事

  1. 2028年、日本はビザ免除旅行者に入国前審査を導入へ 観光大国日本、ビザ免除旅行者にも入国前…
  2. 次世代エネルギー「メタンハイドレート」開発に期待 日本海沿岸12府県が支援要望 日本海沿岸に…
  3. 中国人替え玉受験
    中国人留学生による日本大学受験不正:AI合成写真とカンニング業者の暗躍 日本の大学に留学する…
  4. 中国製ソーラーインバーターに潜むリスク:エネルギー安全保障への脅威 米国エネルギー当局は、中…
  5. ガソリン「暫定税率」をなぜ国は手放さないのか? ガソリン価格の高騰が家計を圧迫し、多くの国民…
  6. 外国免許切替、過去最多7万6千人 制度の課題と見直し検討へ 警察庁が発表した令和6年の運転免…
  7. 警察庁は、2026年4月1日から自転車の交通違反に対し「青切符」を導入し、反則金を科すことを決定し…
  8. 中国の尖閣諸島調査船活動に日本が強く抗議 国際法違反を指摘 沖縄県・尖閣諸島周辺で中国の海洋…
  9. 米中貿易協議、追加関税90日間停止で合意 米国と中国は、スイス・ジュネーブで行われた貿易協議…
  10. 白川郷、観光公害対策で駐車場予約制を導入へ 岐阜県白川村の世界遺産「白川郷」は、美しい合掌造…
ページ上部へ戻る