トランプ米大統領、相互関税を発表—日本に24%、全輸入品に一律10%

ドナルド・トランプ米大統領は2日(日本時間3日)、ホワイトハウスで記者会見を開き、すべての輸入品に一律10%の基本関税を課すとともに、各国の関税や非関税障壁を考慮した追加関税を導入すると発表した。これにより、日本からの輸入品には24%の関税が課されることになる。

主要国への関税率

今回の発表では、国別の追加関税が設定された。主な国の関税率は以下のとおり。

  • 日本:24%
  • 欧州連合(EU):20%
  • 中国:34%
  • 韓国:25%
  • ベトナム:46%
  • 台湾:32%
  • 英国:10%

トランプ大統領は「これは完全な相互関税ではなく、親切な相互関税だ」とし、米国が各国から受けている関税や貿易障壁を踏まえた措置であると説明した。

トランプ大統領の主張

トランプ氏は会見で、「何十年もの間、米国は世界中の国々に不公平な貿易を強いられ、略奪されてきた。これは我々の経済の独立宣言だ」と強調。「貿易赤字はもはや単なる経済問題ではなく、国家の緊急事態だ」と述べ、国内製造業の復活と雇用創出につなげる考えを示した。

さらに、「友好国ほど米国に対して高い関税をかけ、不利な条件を押し付けてきた。今こそ公正な取引を求める時だ」とし、関税政策の正当性を訴えた。

発効日は4月上旬

新たな関税は以下のスケジュールで適用される。

  • 一律10%の基本関税:4月5日発効
  • 国別の追加関税:4月9日発効

ホワイトハウスの発表によると、銅、医薬品、半導体、木材、金、エネルギー、特定の鉱物など一部の品目は関税の対象外となる。ただし、今後、半導体や医薬品にも別の関税が課される可能性があると政府高官が示唆している。

各国の反応

今回の関税措置に対し、各国からは強い反発の声が上がっている。

欧州の首脳らは「貿易戦争はどの国にとっても利益にならない」とし、米国との協議を求める姿勢を示した。イタリアのメローニ首相は「貿易戦争を回避するため、米国と合意を目指す。西側諸国が分断されることは、他の国々の利益になるだけだ」と懸念を示した。

また、米国の下院外交委員会の民主党トップであるグレゴリー・ミークス議員は「今回の関税は、現代史上最大の逆進的増税だ」と批判。米国民の生活費が大幅に上昇し、経済に悪影響を及ぼすとの懸念を示した。

経済への影響

エコノミストらは、今回の関税が世界経済に与える影響を懸念している。関税によって輸入コストが上昇し、消費者物価が高騰する可能性が指摘されている。特に、日用品や食品などの価格上昇が家計を直撃する恐れがある。

また、トランプ大統領の会見を受けて、米国の株式市場は急落。S&P500先物は3%の下落を記録し、市場の不安感が広がっている。

今後の展開

トランプ政権の関税政策は、米国の貿易赤字削減と国内産業の保護を目的としているが、国際的な摩擦を引き起こすのは避けられない。今後、各国がどのような対抗措置を講じるのか、世界経済への影響がどこまで広がるのかが注目される。

国名米国の相互関税率
アルジェリア30%
オマーン10%
ウルグアイ10%
バハマ10%
レソト50%
ウクライナ10%
バーレーン10%
カタール10%
モーリシャス40%
フィジー32%
アイスランド10%
ケニア10%
リヒテンシュタイン37%
ガイアナ38%
ハイチ10%
ボスニア・ヘルツェゴビナ35%
ナイジェリア14%
ナミビア21%
ブルネイ24%
ボリビア10%
パナマ10%
ベネズエラ15%
北マケドニア33%
エチオピア10%
中国34%
欧州連合 (EU)20%
ベトナム46%
台湾32%
日本24%
インド26%
韓国25%
タイ36%
スイス31%
インドネシア32%
マレーシア24%
カンボジア49%
イギリス10%
南アフリカ30%
ブラジル10%
バングラデシュ37%
シンガポール10%
イスラエル17%
フィリピン17%
チリ10%
オーストラリア10%
パキスタン29%
トルコ10%
スリランカ44%
コロンビア10%
ペルー10%
ニカラグア18%
ノルウェー15%
コスタリカ10%
ヨルダン20%
ドミニカ共和国10%
アラブ首長国連邦10%
ニュージーランド10%
アルゼンチン10%
エクアドル10%
グアテマラ10%
ホンジュラス10%
マダガスカル47%
ミャンマー(ビルマ)44%
チュニジア28%
カザフスタン27%
セルビア37%
エジプト10%
サウジアラビア10%
エルサルバドル10%
コートジボワール21%
ラオス48%
ボツワナ37%
トリニダード・トバゴ10%
モロッコ10%

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


おすすめ記事

  1. 再エネ賦課金、過去最高の月1600円超 2032年まで増加見通し
    再エネ賦課金、過去最高へ 月1600円超の上乗せ負担に「国民の限界超えた」と専門家が警鐘 太…
  2. オーバーツーリズムは、特定の観光地に観光客が過度に集中することで、地元住民の生活や環境に悪影響を及…
  3. 道路建設は私たちの生活を支える重要なインフラです。しかし、新しい道路が完成するまでには、通常15年…
  4. 沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海において、中国海警局所属の船舶による連続的な領海侵入が続いています。…
  5. 消費税は、日本の主要な税収源の一つとして位置づけられています。 しかし、その運用方法には多く…

新着記事

  1. 狭い空間でのストーブ利用、やっと国が指針整備 急増する利用者に応える 総務省消防庁はこのほど…
  2. コメ農家「時給10円」説のカラクリ 「コメ農家の時給は10円しかない」。 そんな数字を…
  3. アメリカのドナルド・トランプ大統領は4月25日、米誌『タイム』とのインタビューで、中国の習近平国家…
  4. 【インバウンドの光と影】 見過ごされる「オーバーツーリズム損失」――京都・愛宕念仏寺で起きた異変か…
  5. 「無償化」は本当に“タダ”なのか――社会保障と税負担のリアル 「社会保障の充実」は誰もが口に…
  6. 中国旗と宮崎の水源
    外国資本が宮崎の森林717haを取得 中国語話す代表に住民や議会から不安の声 宮崎県都城…
  7. インドとパキスタン、再び緊張高まる テロ事件が引き金に――パキスタンが貿易停止と上空飛行…
  8. 自転車の交通違反に反則金「青切符」導入へ:スマホ・イヤホン使用も対象、来年4月施行 警察…
  9. トランプ氏「2〜3週間以内に関税再発動の可能性」 再び高まる貿易摩擦の懸念 ドナルド・ト…
  10. 【ウクライナ、領土譲らず和平進展せず】ロンドン会合で米が激怒 両国に深まる不信 ウクライ…
ページ上部へ戻る