
元日から2カ月「毎日射撃」通告 北方領土で高まる緊張
ロシアが、北方領土周辺で来年元日から約2カ月にわたり軍事演習を実施すると日本側に通告した。色丹島北方の複数海域を指定し、3月1日まで「毎日」射撃訓練を行う内容とされる。
北方四島は日本政府が「日本固有の領土」と位置付ける地域で、ロシアの占拠は国際法上も正当化できない。そこで実弾の射撃訓練を繰り返すのは、領土と主権を踏みにじる挑発行為だ。
「ほぼ毎月」演習を積み上げ 既成事実化の危うさ
今回の通告は単発ではない。2025年は色丹島周辺などで射撃訓練の通知が相次ぎ、日本政府はその都度、外交ルートで抗議してきた。外務省は「北方四島に関する日本の立場に反し、受け入れられない」という趣旨を明確にしている。
8~9月の演習通知や、11月にかけての射撃訓練をめぐっても、日本側の抗議が報じられている。通告を常態化させることで「ここはロシアが管理している海域だ」という印象を積み上げる狙いが透ける。
こうした積み上げは、現場の緊張だけでなく、元島民の墓参や交流再開の環境もさらに悪化させる。外務省の外交青書も、四島交流が長く実施できていない現状を示しつつ、再開を求める立場を記している。
「無害通航権」停止の乱用 海のルールをねじ曲げる
ロシアは今年、北方領土周辺で「無害通航権」を一方的に停止すると通告した事例もある。無害通航権は、他国の領海でも安全を害さない限り航行できるという国連海洋法条約の考え方だ。
条約には、沿岸国が安全保障上必要な場合に、特定海域で一時的に無害通航を停止できる規定もある。だが、そもそも北方四島周辺は日本の主権が及ぶべき海域であり、ロシアが「沿岸国」として振る舞う前提自体が成り立たない。
つまりロシアの通告は、「海のルール」を盾にしながら、実際には領有の既成事実化を進める二重の挑発になっている。法の形を借りた力の誇示は、国際秩序への挑戦でもある。
命名、演習、通航制限 “点”がつながるロシアのシナリオ
10月には北方領土の無人島に命名する政令を公表したとも報じられた。地図や行政の言葉を使って「ロシア領」を既成事実化する動きで、演習の常態化と同じ方向を向く。
この流れは、ウクライナ侵略以降に強まった「力で現状を変える」姿勢の延長線上にある。日露関係が厳しい状況にあると外務省自身も明記しており、ロシア側の一方的措置には毅然と対応するとしている。
日本は「抗議」だけで足りるのか 抑止と情報発信の強化が急務
日本政府は抗議を重ねているが、結論から言うと、それだけではロシアの行動を止められていない。必要なのは、抗議の継続に加えて、監視・警戒、同盟国や同志国との連携、そして国際社会への説明の強化だ。
具体的には、北方海域での航行安全情報の発信を強め、民間船舶や漁業への影響を最小化しつつ、ロシアの通告が「不当な主権主張」に基づくことを丁寧に突き崩すべきだ。国際法の議論は難しく見えるが、「ルールを悪用している」という一点を、分かる言葉で繰り返し示す必要がある。
元島民の高齢化が進む中、墓参や交流は時間との戦いでもある。ロシアが演習通告を“日常化”させるほど、現場でできることは減っていく。日本側は「北方領土は未解決の領土問題であり、ロシアの軍事活動は挑発だ」という事実を、国内外にもっと強く突きつけなければならない。




















