【参院選2025】外国人政策で対立深まる各党 共生か規制か、日本の未来を左右する選択へ

参院選の争点「外国人政策」 各党の公約から見える日本の将来像

2025年の参院選では、「外国人政策」が主要な争点の一つとして浮上している。外国人観光客や労働者の急増、外国資本による土地取得、難民認定制度の運用など、制度や治安に関する課題が表面化する中、各政党はそれぞれの立場で公約を打ち出している。受け入れの拡大を進めるか、制度の厳格化で制限をかけるか。日本社会の将来像を左右する議論が、各党の主張に色濃く表れている。

自民党『違法な在留を「ゼロ」に、法令厳守で毅然と対応』

自民党は「違法外国人ゼロ」を掲げ、在留資格のない外国人や制度の悪用に対する厳格な姿勢を明確にしている。外国の運転免許を日本の免許に切り替える「外免切替」制度や、不動産の所有についても、法令に則り厳しく対応するとしている。また、不法滞在状態で仮放免中の外国人への管理強化も公約に盛り込み、制度の抜け穴を塞ぐ方針だ。

石破茂首相は党首討論会で>「違法な外国人は認めない」と明言し、保守層への訴求を強めた。一方で、日本語や日本の文化について>「七面倒くさい」と表現したことで、SNSなどで反発の声が上がった。

維新『人口戦略としての外国人規制、土地取得に新たな制限』

日本維新の会は、外国人比率の急上昇を抑えるための「人口戦略」を策定するとしている。受け入れの総量規制に加え、安全保障上の観点から、重要地域における外国資本による土地取得に事前許可制と利用制限の導入を提案している。国家の安全と国土保全を重視する視点が特徴的だ。

国民民主党『土地取得規制や免税制度見直しでバランス型の改革』

国民民主党は「外国人土地取得規制法」の制定を打ち出し、防衛施設周辺に限らず全国的に規制を広げる考えを示している。さらに、外国人旅行者への消費税免税制度の見直しや、入国管理・税務手続きの厳格化も掲げ、優遇措置のバランスを見直す方針だ。

ただし、当初の公約にあった「外国人に対する過度な優遇を見直す」との文言が「排外的」との批判を呼び、玉木雄一郎代表は修正に応じた。慎重な姿勢で社会的調和との両立を模索している。

参政党・れいわ・日本保守党『強硬路線で“日本人ファースト”を主張』

参政党は「行き過ぎた外国人受け入れ」に強く反対し、>「日本人ファースト」の原則を掲げている。外国人による不動産取得を厳格に制限し、外国人参政権の一切の容認を否定。制度の見直しだけでなく、外国人政策そのものに対する根本的な立場を明示している。

れいわ新選組も移民政策に反対し、技能実習制度と入管難民法の廃止を主張。日本保守党も入管制度の厳格な運用と罰則の強化を公約としており、法改正に向けた強い姿勢を示す。

立憲民主党『多文化共生を推進、基本法で制度整備へ』

立憲民主党は、外国人との共生社会の構築を目的とした「多文化共生社会基本法」の制定を公約に掲げている。在留外国人と日本国民が互いに尊重し合い、支え合う社会をつくるための制度整備に注力する。さらに、難民認定制度や出入国管理制度についても抜本的な改革を目指すとしている。

野田佳彦代表は討論会で>「外国人にどんどん来てもらい、働いてもらい、学んでもらう」と発言。人口減少による労働力不足への対応として、受け入れ拡大の必要性を強調した。

共産党『人権尊重と難民支援に軸足、収容制度の見直しも提案』

日本共産党は外国人の人権保障を最優先に掲げ、入管難民法の全面的な見直しを主張している。長期収容の廃止や難民申請者への生活支援の強化も含め、制度の人道的な再設計を目指す。外国人を支援し、社会的に孤立させない制度改革を求めている。

公明党『制度の厳格化と管理の高度化を両立』

公明党は、短期滞在者による運転免許の切り替えを禁止し、外免制度の適正化を進めるとともに、社会保険料の未納情報を在留審査に反映させるなど、入国後の管理体制の強化を訴えている。制度の透明性と公平性を重視し、過度な規制には慎重だが、悪用防止に対する対応も明確にしている。

外国人政策の対立軸:「規制強化」か「共生社会」か

今回の参院選における外国人政策をめぐる各党のスタンスは、明確に「規制重視」と「共生重視」に分かれている。

規制を重視する自民・維新・国民民主・参政・保守各党は、不法滞在の取り締まりや外国資本による土地取得の制限、制度の厳格運用を訴える。一方、立憲民主党や共産党は、少子高齢化を背景に外国人労働力の受け入れを前向きに捉え、多文化共生社会の実現を目指している。

どちらの方向に進むべきか――。参院選を通じて、有権者は日本の未来像を問われている。経済、安全保障、地域社会、そして人権。それぞれの視点から、日本にとって最適な外国人政策を選ぶ選挙となる。

政党名公約内容
自民党外免切替や不動産所有などについて法令に基づき厳格かつ毅然と対応・政府の司令塔機能構築、被仮放免者への対応強化など「違法外国人ゼロ」の取り組み推進
立憲民主党在留外国人との共生に向け「多文化共生社会基本法」制定・難民保護・入管手続きの適正化を制度化、難民認定や出入国管理などを抜本改革
公明党社会保険料未納情報を在留審査に反映させるなど管理の高度化・短期滞在者の外免切替禁止など制度の厳格化
日本維新の会外国人比率の上昇抑制や受け入れ総量規制を含む入国戦略を策定・安全保障上重要な区域の土地取得に事前届出制と利用制限を導入
日本共産党外国人の人権保障のため入管難民法を抜本的に改正・収容のあり方を抜本改善、難民申請者の生活保障を強化
国民民主党防衛施設周辺以外も対象とした「外国人土地取得規制法」の制定観光目的での消費税免税制度の見直し入国管理・税手続の厳格化
れいわ新選組移民政策反対・技能実習生、入管難民法の廃止
参政党行き過ぎた外国人受け入れに反対・「外国人への過剰な優遇」に反対
日本保守党入管難民法の改正と運用の厳正化・監修・管理・罰則の見直し

関連記事

おすすめ記事

  1. 消費税は、日本の主要な税収源の一つとして位置づけられています。 しかし、その運用方法には多く…
  2. ドナルド・トランプ米大統領は2日(日本時間3日)、ホワイトハウスで記者会見を開き、すべての輸入品に…
  3. 行き過ぎた多様性の問題点 多様性(ダイバーシティ)の推進は、現代社会において重要な課題として…
  4. 大阪で拡大する“民泊マンション” 住民からは「制度に欠陥」と不安の声 訪日観光客の急増ととも…
  5. 2025年7月、いよいよ参議院選挙が実施される。この選挙は、日本の立法府における重要な役割を果たす…

新着記事

  1. 重要な土地を外国資本に奪われるリスク 政府の動きの遅さが招く“静かなる有事” 政府が初…
  2. 米ペンシルベニア州USスチール工場で爆発 死者2人・負傷10人 日本製鉄傘下で発生 米国東部…
  3. 日本移住で大学まで学費無料?中国で密かに広がる“教育支援”悪用の動き 厚生労働省の統計によれ…
  4. 日米関係に新たな火種か 米国が日本製品に15%の追加関税を発動 「合意」との齟齬に懸念広がる …
  5. 石破政権に「ネット言論統制」疑惑 削除要請の根拠示さず批判拡大 参院選を終えたばかりの自民党…
  6. CIA資金提供疑惑と河野洋平氏の非公開要請 戦後最大級の「政治とカネ」問題が再燃 冷戦期、米…
  7. 政治と税制の透明性に関する新たな提起:マイナンバー・インボイスと政治献金の「紐づけ」へ 制度…
  8. トランプ氏、対日15%関税に署名 カナダには35% 7日後に発動へ 米国のトランプ大統領は7…
  9. 外国人ドライバーの事故が増加傾向 免許取得のハードルの低さが安全脅かす 日本で車を運転する外…
  10. 【ベトナム技能実習生の逃亡が最多に】制度のほころびが生む不法滞在と犯罪の連鎖 佐賀県伊万里市…
ページ上部へ戻る