中国軍戦闘機、豪哨戒機に照明弾投下 南シナ海で緊張再び

オーストラリア国防省は2月13日、南シナ海上空でパトロール中の空軍哨戒機P8Aポセイドンに対し、中国軍の戦闘機J-16が危険な接近を行い、照明弾を投下したと発表した。この行為は「危険で、軍としてふさわしくない」として、中国側に正式に懸念を伝えた。

事件の詳細

2月11日、P8Aポセイドンが通常の監視活動を行っていた際、J-16戦闘機が機体の上部や前方約30メートル以内に照明弾を投下。幸いにも、乗組員にけがはなく、機体の損傷も報告されていない。

過去の類似事例

昨年5月、黄海の公海上で、中国空軍の戦闘機がオーストラリア海軍のMH-60Rシーホークヘリコプターの進路上に照明弾を発射する事案が発生。この際も、乗組員にけがはなかったが、オーストラリア政府は中国側に正式に懸念を表明した。

中国側の主張

中国政府は、オーストラリアの航空機が意図的に中国の領空に接近し、問題を引き起こしたと主張。中国外務省の林報道官は、「中国軍は警告として現場で必要な措置を講じた。関連する行動は合法で法令を順守するものであり、職業的かつ安全なものだった」と述べている。

オーストラリアの対応

オーストラリア国防省は、中国軍の行動を「危険でプロ意識に欠ける」と非難し、正式に懸念を表明。マールズ国防相は、「兵士の安全と健康は最優先だ。オーストラリアは中国を含むすべての国家が、プロフェッショナルで安全な形で軍を展開することを求める」と強調した。

このような事案は、南シナ海における領有権を巡る緊張をさらに高める可能性があり、地域の安全保障において重大な懸念材料となっている。

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