播磨臨海地域道路建設計画に反対の声 住民署名活動が広がる

播磨臨海地域道路の建設計画に対する住民の懸念と反対運動

兵庫県内の神戸市から姫路市の沿岸部を結ぶ自動車専用道路「播磨臨海地域道路」の建設計画に対し、沿線住民が立ち退きや環境への影響を懸念し、反対の署名活動を行っています。特に高砂市、加古川市、姫路市の住民が中心となり、計画の撤回を求める声が上がっています。

反対署名活動の背景と経緯

この道路建設計画は、播磨臨海地域の工業地帯の物流強化と周辺渋滞解消を目的としており、1998年に沿線自治体が協議会を結成し、国に要望を始めました。国は2022年11月に約32キロのルート案を提示し、これを基に県と沿線自治体が計画を具体化。住民説明会が2023年から計62回開催されたものの、住民の反対の声は強まっています。

高砂市の住民の懸念

高砂市西畑地区では、計画により住宅街を貫通する高架道路が建設され、50軒以上の住民が立ち退き対象になる可能性があるとされています。83歳の嶋谷数博さんは、「静かな余生を送りたい」と立ち退きに強い不安を示しています。住民グループ「播磨臨海地域道路に反対し住民自治を守る高砂の会」は2024年9月に発足し、2025年1月には1598筆の署名を高砂市長に提出しました。

市長と住民の対話

高砂市長の都倉達殊氏は、署名提出後に住民グループと面会し、「地域発展に必要な道路であり、立ち退きは最小限に抑える」と理解を求めました。しかし、住民側は「税金を使ってまで道路を作るべきか」と疑問を抱き、工法やルート選定についての説明が不十分だと感じています。

姫路市と加古川市の反対署名

姫路市的形地区でも自然環境が破壊されることへの懸念から住民グループが署名活動を行い、約1500筆を集めました。加古川市別府町西脇地区でも1000筆以上の署名が集まり、反対の声が広がっています。

播磨臨海地域道路の目的と計画

この道路の建設は、沿線自治体が1998年に協議会を結成し、国に要望したことがきっかけで進められています。計画路線は約50キロで、32キロの区間が具体化されており、総事業費は5900億円とされています。県は、渋滞緩和効果の高い区間を2028年までに完成させ、全線整備を50年までに目指しています。

今後の展開

住民グループは署名活動を続け、4月に兵庫県知事への署名提出を予定しています。一方、県や沿線自治体は、地域発展のための重要なインフラ整備として、計画の推進を主張しており、今後の対立が注目されます。

播磨臨海地域道路の社会的影響

この道路の建設は、地域の交通インフラ整備において重要な役割を果たし、地域経済に大きな影響を与えると考えられています。完成すれば、工業地帯の物流効率化が進み、近隣の工場や港湾施設へのアクセス向上が期待されています。また、道路建設により新たな企業誘致や産業集積が進む可能性もあり、地域の雇用創出に貢献することが見込まれています。

住民の懸念と反対運動

しかし、住民からは立ち退きや環境への影響についての懸念が強まり、反対運動が活発化しています。高砂市西畑地区では、高架道路の建設により50軒以上の住民が立ち退き対象となり、住民グループは反対署名を提出。姫路市の的形地区でも自然豊かな里山が切り崩されることへの懸念から署名活動が行われ、加古川市別府町西脇地区でも反対の声が広がっています。

行政の対応と今後の展望

高砂市長は、地域発展と渋滞解消のための道路建設が不可欠であり、立ち退きは最小限に抑えると説明しています。しかし、住民側は道路の建設に使われる税金や立ち退き問題について疑問を呈し、代替案やルート変更を求めています。署名活動は今後も続く予定で、住民たちはさらに署名を集め、県や国に計画の撤回や見直しを求めています。

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