税収は6年連続で過去最高を更新しているのに、なぜ増税が必要なの?なぜ減税できないの?

金にまみれた日本人政治家

2025年度予算案では、一般会計の税収見積もりを70兆円台の後半とする方針が固められ、さらに2024年度の税収は73.4兆円と見込まれており、これは6年連続で過去最高を更新する見通しです。

この税収の増加は、景気回復や法人税の増加、消費税の引き上げなどが寄与した結果です。

しかし、税収が増えているにもかかわらず、なぜ増税が必要だとされるのでしょうか。

その理由の一つには、日本の税金の使い道における無駄遣いがあることが挙げられます。

無駄遣いが続く限り、税収が増えてもその恩恵が国民に還元されることはなく、さらなる増税が必要とされるのです。

高齢化社会と社会保障費の増加

日本の高齢化は急速に進行しており、これが社会保障費の増加を招いています。2024年度の社会保障費は、約36兆円に達する見込みで、これは日本の一般会計支出の約3分の1を占めています。

社会保障費は今後も増加し続け、2050年には約60兆円に達するとも予測されています。

高齢者人口の増加に伴い、年金、医療、介護などの支出は年々膨らんでおり、これに対応するためには安定した税収が必要ですが、税金の無駄遣いがこれを圧迫しています。

財政赤字と国債依存

日本の財政赤字は長年にわたり膨らんでおり、現在の公的債務は約1,200兆円に達しています。

日本のGDPは約550兆円であるため、公的債務はGDPの約220%に相当します。

この国債の利払い費用は、年間約20兆円を超え、毎年税収の大きな部分がこれに充てられています。この利払いを削減するためにも増税が必要ですが、税金の使い道に無駄が多ければ、その資金が本来必要な分野に使われることはなく、財政健全化が進まないままとなります。

無駄な支出を減らさなければ、増税が繰り返されるという悪循環が続いてしまいます。

税金の無駄遣い

税収が増加しているにもかかわらず無駄遣いが続く背景には、政府の予算執行における非効率性や不透明さがあります。

例えば、公共事業において重複が発生していることや、過剰な費用がかかる事業が多く存在しています。具体例としては、ある地域で行われた道路整備事業が、別の地域でもほぼ同様の目的で実施されているケースがあり、これによって税金が二重に使われていることがあります。

さらに、公共事業の契約が過剰な価格で行われることがあり、適正価格での入札が行われない場合もあります。

例えば、2019年に発覚したある公共事業で、予定されていた工事費用が20%も上乗せされていたことが報告されており、このような無駄遣いが続く限り、増税を行ってもその効果は十分に発揮されません。

無駄な補助金や税制優遇措置

政府が提供する補助金や税制優遇措置の中には、効果が薄かったり、不公平な利益を特定の企業や団体に与えているものもあります。

例えば、エネルギー業界への補助金がその一例です。

これまで日本政府は、再生可能エネルギーの導入促進を目的に大規模な補助金を提供してきましたが、その効果が期待ほど現れていないとの指摘もあります。

また、大企業への税制優遇措置が過剰であるとの批判もあります。

たとえば、法人税の引き下げが大企業に有利に働き、中小企業との差が広がる結果となっている場合もあります。

こうした補助金や税制優遇措置が効率的に使われていないことは、税収の効果的な活用を妨げ、税金の無駄遣いに繋がります。

経済の回復に向けた必要性と増税のバランス

日本の経済は、インフレ目標を達成しつつありますが、依然として低成長が続いており、企業や個人の収入が増加していない中で、税収が増えていることは一時的な要因に過ぎない可能性があります。

経済が低迷している中で、税金を増やしていくことは負担となり、その負担が無駄に使われている場合、国民の不満が高まります。

例えば、2023年度の税収のうち、国債の利払いに充てられた金額は約20兆円で、これは税収の約30%を占めています。

この金額が社会保障やインフラ、教育などに回せていれば、国民の負担も軽減されるはずです。

しかし、税金の無駄遣いが続く現状では、その資金が最適な使い道に使われないため、増税が必要でも、その効果が発揮されにくくなります。

無駄遣いの削減と増税のバランス

増税を実施する前に、まずは税金の使い道を見直し、無駄遣いを削減することが求められます。

例えば、公共事業の効率化や、行政機関の再編を行うことで、税金の無駄遣いを減らし、その分を社会保障や教育などに充てることができます。

さらに、無駄な補助金や税制優遇措置の見直しを進めることで、税金の使い道がより効率的になり、増税の必要性が最小限に抑えられるでしょう。

政府が効率的に税金を使うことで、国民の負担感を軽減し、増税の負担を和らげることができます。

無駄遣いを減らすとともに、税金を効果的に使うことで、増税によって得られた資金をより効果的に活用し、財政健全化を進めることが可能となります。

税収が増加しているにもかかわらず増税が必要な理由には、社会保障費の増加や財政赤字の問題があります。しかし、税金の無駄遣いが続いている現状では、増税によって得られた資金が本来必要な分野に使われない可能性があります。無駄遣いを削減し、税金を効率的に使うことができれば、増税の負担感を軽減し、より持続可能な財政運営を実現することができます。

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