韓国(大韓民国)が竹島(韓国名:独島)を自国の領土と主張する根拠は、歴史的、地理的、国際法的な観点に基づいています。しかし、その主張にはいくつかの矛盾点や不正確な解釈も含まれているため、日本(日本国)との間で長年にわたり激しい領有権争いが続いています。
韓国の主張
韓国は以下の主張を通じて竹島の領有権を主張しています。
歴史的根拠
三国史記と「于山国」の記録
韓国側は、竹島が古代朝鮮の一部であったとする根拠として、『三国史記』や『世宗実録地理志』に登場する「于山国」の記録を挙げています。特に『世宗実録』では、于山島が鬱陵島の東側に位置する島として記述されており、これを竹島と同一視しています。
安龍福の活動
17世紀末、朝鮮の漁民であった安龍福が鬱陵島と竹島を朝鮮領であると江戸幕府に主張したという記録が残されています。韓国はこれを領有権の主張における重要な証拠と位置づけています。
その他の古地図
韓国は自国の古地図や日本の地図においても、竹島が朝鮮領として描かれていると主張しています。
地理的根拠
韓国は竹島が鬱陵島から約90km、日本本土(隠岐諸島)からは約158km離れていることを挙げ、竹島が韓国に近い地理的条件を根拠としています。
国際法的根拠
第二次世界大戦後の領土整理
韓国は、連合国が日本の帝国主義的拡張を制限するために発布した「カイロ宣言」や「ポツダム宣言」を根拠に、竹島が日本の領土から除外されるべきだと主張しています。
ラスク書簡に対する異議
サンフランシスコ講和条約に関連する「ラスク書簡」では、竹島が日本領であるとされましたが、韓国はこれに反論しています。
実効支配の継続
韓国は1954年以降、竹島を実効支配しており、これを領有権の根拠としています。竹島には韓国警察が駐留し、灯台や観光施設などのインフラが整備されています。
韓国の主張における矛盾点や間違い
韓国の竹島領有権主張には、以下の矛盾点や不正確な点があります。
歴史的根拠の問題
「于山国」と竹島の同一性
韓国が挙げる『三国史記』や『世宗実録』に記載された「于山国」は、現在の鬱陵島および周辺の小島を指す可能性が高く、竹島(独島)との同一性を証明する直接的な証拠は存在しません。
さらに、これらの記録に登場する「于山島」は、現代の竹島ではなく、鬱陵島周辺の別の島(現在の観音島)であるとの説が有力です。
安龍福の証言の信憑性
安龍福が竹島を朝鮮領と主張したという記録は、江戸幕府の公式文書には残されていません。また、彼の活動は個人的なものであり、国家的な領有権の主張と直接結びつけるのは困難です。
古地図の解釈の曖昧さ
韓国が提示する古地図は、多くの場合、竹島と鬱陵島を明確に区別していないか、竹島を正確に描いていないため、領有権を裏付ける決定的な証拠とは言えません。
地理的根拠の問題
韓国は竹島が地理的に韓国に近いことを主張していますが、国際法において地理的近接性は領有権を決定する主要な要素ではありません。領有権は、歴史的な統治実績や国際法に基づく合意に依存します。
国際法的根拠の問題
第二次世界大戦後の領土整理に関する誤解
カイロ宣言やポツダム宣言は、竹島を特定した文書ではありません。これらの文書は、朝鮮半島が日本の支配から解放されることを規定しているものの、竹島の帰属については触れていません。
ラスク書簡の無視
ラスク書簡では明確に竹島を日本領と認めていますが、韓国はこれを正当な国際的判断として受け入れていません。
実効支配の一方的性質
実効支配は国際法において領有権を決定する要素の一つですが、韓国の竹島支配は日本が抗議を続けている状況下で行われており、一方的な支配として国際的に合法と認められるには至っていません。
日本側の反論
日本政府は、以下のような点を挙げて韓国の主張に反論しています:
17世紀以降の竹島統治
江戸時代初期から、竹島は日本の漁民による利用が行われ、幕府が公式に許可していたことが記録されています。
サンフランシスコ講和条約の明確性
同条約において、竹島は日本領として確定されています。韓国がこれを無視する主張は国際法に反しています。
韓国の実効支配への抗議
日本は韓国による竹島の不法占拠を継続的に抗議しており、これにより韓国の実効支配の正当性は否定されます。
韓国の竹島領有権主張は、歴史的、地理的、国際法的な観点から支持されるとされていますが、その根拠には不確実性や解釈の曖昧さが含まれています。特に、「于山国」と竹島の同一視、安龍福の活動の過大評価、古地図の不正確な解釈は、大きな論争点となっています。
一方で、日本の反論は、国際法や歴史的記録に基づいており、竹島が一貫して日本の領土であったと主張する点で整合性があります。両国間の主張の食い違いを解決するためには、国際司法裁判所(ICJ)での冷静な議論が必要とされていますが、韓国はこれを拒否しており、問題の解決は未だ見通せていません。この状況は、日韓関係における重要な課題の一つとして今後も議論され続けるでしょう。
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