ガソリン税の「暫定税率」は、揮発油税や地方揮発油税に適用されている、元来の税率に加算された上乗せ部分を指します。
この制度は50年以上にわたり続けられており、現在、ガソリン1リットルあたり53.8円の課税額のうち25.1円が暫定税率分です。
この暫定税率はもともと財政補填のための措置として導入されましたが、長期間固定化されてきました。
例えば、ガソリンスタンドで175円/Lと書かれてていて、30L給油した場合5,250円支払いますが、その支払いの中に以下のような税金が含まれています。
項目 | 金額 | 計算方法 |
---|---|---|
消費税 | 477円 | 価格の10% |
ガソリン税(暫定上乗せ分) | 753円 | 1Lあたり25.1円 |
ガソリン税 | 861円 | 1Lあたり28.7円 |
石油石炭税 | 84円 | 1Lあたり2.8円 |
ガソリン自体の価格 | 2,597円 |
元々の価格は2,597円なのに、色々な税金が上乗せされ消費者は5,250円支払っているのです。
暫定税率廃止の背景
2024年、自民党・公明党・国民民主党は暫定税率の廃止に合意しました。
背景には、長年にわたる高い税負担への批判や、ガソリン価格高騰が国民生活に与える影響が挙げられます。
また、「トリガー条項」と呼ばれるガソリン価格が高騰した場合の税軽減措置も議論されましたが、東日本大震災以降、この措置は凍結されています。
暫定とは
決定を見合わせて、その間、仮に一時的な取決めをすること。
ガソリン価格への影響
暫定税率が廃止された場合、現在の全国平均価格(175円70銭/L)から、約10円程度安くなると試算されています。
ただし、これには国の補助金や市場動向の影響も考慮する必要があります。補助金が継続されない場合でも、ガソリン価格は165円台に落ち着く可能性があります。
課題と懸念
暫定税率の廃止により、国と地方の税収は約1兆5000億円減少すると見込まれています。
この財源をどのように補填するかが大きな課題です。
特に地方自治体の道路整備や公共インフラへの影響が懸念されています。
また、税制改革が市場に与える混乱や、石油価格の変動への対応も考慮する必要があります。
今後の展望
政府は暫定税率廃止に向けた議論を進める一方で、自動車関連税全体の見直しを含む包括的な税制改革を模索しています。
JAF(日本自動車連盟)をはじめとする関係団体は、税負担の公平性や自動車ユーザーへの影響軽減を求める要望活動を展開しています。
暫定税率廃止は、多くの国民にとって歓迎される一方で、財政面やインフラ整備への影響を考慮した慎重な議論が必要です。
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