
韓国経由で中国製が“韓国製”に?原産地偽装が急増、日本も他人事ではない
韓国の関税庁は4月21日、中国製品を「韓国製」と偽ってアメリカへ輸出する不正行為が急増していると発表した。2025年1月から3月までの第1四半期だけで、こうした偽装輸出は295億ウォン(約2080万ドル)にのぼる。しかも、その97%がアメリカ向けだという。
背景には、トランプ政権による高関税の影響がある。現在、中国製品に対しては最大145%もの関税が課せられている一方で、韓国からの輸入品には25%にとどまる。これを逆手に取ったのが、第三国を“経由地”として関税逃れを狙う中国企業だ。
調査では、例えば今年1月に韓国へ輸入された中国製のバッテリー用正極材(33億ウォン相当)が韓国製と偽装され、アメリカに輸出されていたケースが判明した。3月には、同じく中国製の部品を韓国国内で簡易に組み立てただけの監視カメラが、韓国製として193億ウォン相当輸出されていたという。
韓国関税庁はすでに特別調査チームを立ち上げ、こうした違法な貿易慣行に歯止めをかける構えだ。「自国産業の保護と通商信頼の維持のため、さらに踏み込んだ対策を講じる」としている。
だが、この問題は韓国だけにとどまる話ではない。日本にとっても、こうした“原産地ロンダリング”は警戒すべき問題だ。たとえば過去には、「熊本県産」として売られていたアサリが、実は韓国や中国から輸入されたものだった、という表示偽装事件が発覚している。これらは氷山の一角にすぎない。
今後、日米間の通商交渉が進む中で、日本製品に対する信頼性はさらに厳しく問われる。中国企業が日本を“経由地”として利用しようとすれば、知らぬ間に日本企業が関税逃れの片棒を担がされる恐れもある。こうしたリスクを防ぐためにも、日本政府は原産地証明のチェック体制を強化し、第三国経由の輸出品には特段の注意を払う必要があるだろう。
民間企業も他人事ではない。輸出に関わる企業は、サプライチェーンの透明化を進め、製品の出自が不明確な部品や素材の取り扱いには慎重になるべきだ。
国際的な貿易秩序が不安定化しつつある今、日本は「知らなかった」では済まされない立場にある。韓国の事例は、日本にとっても“警鐘”であり、早期の対策が不可欠だ。
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