「福島処理水」を批判しながら三陸沖で漁を続ける中国漁船、その矛盾と国際社会の反応

福島処理水放出に対する中国の批判と三陸沖での矛盾

2023年8月、東京電力福島第一原子力発電所からのALPS処理水の海洋放出が始まった。これに対し、中国は「核汚染水だ」と強く批判し、日本産水産物の全面輸入禁止を実施。しかし、その一方で、中国漁船は三陸沖の好漁場で操業を続けている。日本の水産物は輸入禁止にしても、自分たちで獲る魚は問題ないらしい。

中国の批判と自国での実態

中国は処理水放出を「海洋の核汚染」として非難し、国民への食品安全を理由に輸入を禁止。しかし、実際のところ中国の原子力発電所もトリチウムを含む水を海に放出し続けている。その放出量は日本を上回るとも指摘される。

科学的に見れば、処理水に含まれるトリチウムは、国際基準をはるかに下回る濃度で海洋放出されている。IAEA(国際原子力機関)も「安全基準を満たし、環境や人体への影響は無視できるほど」との報告書を発表。これに対し、中国は科学的根拠を示さず感情的な反発を続けている。

三陸沖に集まる中国漁船

福島第一原発からの処理水放出が始まった後も、三陸沖には中国漁船が多数集まっている。日本からの水産物は禁じても、自国で獲った魚は安全とでも言うように、数十隻の中国漁船が操業を続けている。

地元の漁業者からは「日本の魚は危険だと批判しながら、自分たちは獲り続けるのはどういうことか」との疑問の声が上がる。また、中国漁船は国際法上の公海で漁を行っているため、取り締まりは難しい。

日本政府とIAEAの反応

日本政府は科学的根拠に基づき、処理水が安全であることをIAEAと共に証明している。2023年7月にはIAEAが報告書を発表し、処理水の安全性を確認。日本は国際社会に透明性を示し、風評被害の抑制を図っている。

一方、中国はこのIAEAの報告にも批判的で、「IAEAは日本寄りだ」と主張。しかし、IAEAは国連の国際機関であり、その信頼性は高い。


福島処理水の海洋放出をめぐる中国の批判と、その一方で三陸沖で操業を続ける中国漁船の矛盾は、国際社会の注目を集めている。科学的根拠を無視し、感情的な反発を続ける中国に対し、日本は引き続き透明性と国際基準に基づく対応を続ける必要がある。

参考サイト
<a href="https://gendai.media/articles/-/149931" target="_blank" rel="noopener" title="">「処理水」の海洋放出を批判しながら、好漁場の三陸沖に出向いて漁を続ける中国漁船</a>

関連記事

おすすめ記事

  1. 「ニセコ化」した野沢温泉村で現れる観光公害とその影響 長野県の野沢温泉村は、昔から温泉と自然…
  2. 沖ノ鳥島周辺に眠るレアメタルと中国の調査船活動――資源争奪で日中関係再び緊張
    中国、「沖ノ鳥島は岩」と再主張 日本のEEZを否定 資源めぐり緊張再燃 中国政府は2025年…
  3. 中国のブイ撤去も日本政府の無策が残した禍根 沖縄県・与那国島の南方海域に設置されていた中国の…
  4. 大阪で拡大する“民泊マンション” 住民からは「制度に欠陥」と不安の声 訪日観光客の急増ととも…
  5. 日本を訪れる外国人観光客の数は年々増加しており、特に中国人観光客の訪日人数は目覚ましく、昨年は70…

新着記事

  1. 台湾・国史館の機密解除 「便衣」潜入と“相互不侵”を示す電報群 台湾の国史館(國史館)と台湾…
  2. [ays_poll id=8] …
  3. 参院選で示された「減税」への圧倒的な民意 7月20日に投開票が行われた参院選では、ガソリンの…
  4. 日本のODAは10年で36兆円超に増加
    日本のODA支出は10年で36兆円規模へ 日本政府が海外に対して行ってきた政府開発援助(OD…
  5. 中国大使館が呼びかける「中国人襲撃への警戒」 在日中国大使館が8月18日に発表した注意喚起が…
  6. 重要な土地を外国資本に奪われるリスク 政府の動きの遅さが招く“静かなる有事” 政府が初…
  7. 米ペンシルベニア州USスチール工場で爆発 死者2人・負傷10人 日本製鉄傘下で発生 米国東部…
  8. 日本移住で大学まで学費無料?中国で密かに広がる“教育支援”悪用の動き 厚生労働省の統計によれ…
  9. 日米関係に新たな火種か 米国が日本製品に15%の追加関税を発動 「合意」との齟齬に懸念広がる …
  10. 石破政権に「ネット言論統制」疑惑 削除要請の根拠示さず批判拡大 参院選を終えたばかりの自民党…
ページ上部へ戻る