【参院選2025】安全保障と原発政策で各党が真っ向対立!各党の主張を徹底比較

参院選2025 各党の安全保障とエネルギー政策を徹底比較

7月に控える第27回参議院議員通常選挙では、防衛やエネルギーといった国家の根幹に関わる政策が主要な争点の一つとなっている。特に安全保障分野では、国際的な緊張の高まりを背景に、各政党が防衛費の増額や装備の近代化に対するスタンスを打ち出している。同時に、エネルギー政策、特に原発の扱いについても、各党の立場に大きな違いがある。

今回は、主要政党が掲げる「安全保障」と「エネルギー・原発政策」について、それぞれの主張をわかりやすく整理し、読者の判断材料として提供する。

各党の政策比較表

政党安全保障政策の主張エネルギー・原発政策の主張
自民党安保3文書に基づく防衛力の抜本強化。GDP比2%の防衛費を目標に掲げ、自衛官の処遇改善も推進。原発再稼働を容認、安全基準を満たす施設は活用。次世代炉の開発も明記。
立憲民主党専守防衛を堅持しつつ、防衛力を必要な範囲で強化。安保関連法の違憲部分は廃止。脱原発を基本方針とし、再エネ推進。新増設は否定し、廃炉を計画的に進行。
公明党専守防衛を前提にAI・無人機など先端技術を導入。防衛装備のスマート化を進める。原発の段階的削減を念頭に、再稼働容認。次世代炉開発を支援する方針。
維新防衛費のGDP比2%を明確化。米国と原潜の共有も検討。憲法改正とスパイ防止法の制定を主張。原発再稼働を推進し、次世代革新炉に注力。審査の迅速化と技術革新を重視。
共産党軍拡反対。安保関連法や日米安保条約の廃止を訴え、平和外交の強化を主張。原発全廃を掲げ、再稼働・新設には全面的に反対。再エネ100%を目指す。
国民民主党米依存の脱却と自主防衛体制の確立を主張。国産防衛装備の整備支援にも注力。原発再稼働を容認。革新炉開発や自衛隊による原発施設の警備体制強化も提示。
れいわ軍拡を否定し、安保法制の白紙撤回を訴える。米軍基地問題では拒否権と協定見直しを主張。即時原発廃止と再エネ投資の拡大を主張。省エネと分散型電源の普及に注力。
参政党自立的防衛体制の構築。スパイ防止法の制定を提案。段階的な米軍撤退と地位協定の見直し。小型モジュール炉(SMR)や核融合技術に期待。再エネは慎重姿勢。
社民党敵基地攻撃能力の保持に反対。宇宙・サイバー空間の軍事利用も否定。脱原発を明記し、再エネ100%社会の実現を目標に掲げる。
保守自衛隊法改正と名称変更を主張。国防力の抜本強化が必要と主張。原発政策への明確な言及は少ないが、再エネ賦課金廃止や火力発電の技術活用に理解を示す。

安全保障とエネルギー政策のポジション比較

防衛強化の度合いと原発推進度合いの2軸で各党のスタンスを分類すると、以下のように整理できる。

原発×防衛政策
分類政党名
原発推進/防衛強化自民、維新、公明、国民、参政※
中間〜抑制派立民、社民(原発ゼロ)
脱原発・平和外交重視共産、れいわ、社民

論点1:防衛費の増額は是か非か

今回の選挙で最も分かれ目となるのが「防衛費の大幅増額」である。自民、維新、国民民主などは、GDP比2%という明確な数値目標を掲げており、NATO基準を意識した防衛力整備を進める方針だ。特に維新は、米国と原子力潜水艦を共有する提案もしており、より現実的な軍備強化を志向している。

一方、共産・社民・れいわは防衛費の拡大そのものに反対。「抑止力の強化より、外交の強化こそが必要」と訴えており、予算の使い道そのものが論争となっている。

論点2:原発の存廃をめぐる立場

エネルギー政策についても、各党の主張は真っ二つに分かれている。自民・公明・維新・国民などは、原発の再稼働や次世代炉の導入を視野に入れた現実路線。エネルギー安全保障や温室効果ガスの排出削減も視野に、原子力を「ベースロード電源」として位置づけている。

これに対し、立憲・共産・社民・れいわは「脱原発」を掲げ、再エネ100%社会の構築を打ち出す。事故や災害時のリスク、使用済み核燃料の問題を重視する立場だ。

論点3:エネルギー安全保障の将来像

ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫など、エネルギー輸入国としての日本は常に不安定要因を抱えている。こうした状況下で、自前の電源を持つ重要性が増しており、各党の原発・再エネ政策も安全保障の一環として捉えられている。

エネルギーの地産地消を重視する立場と、国家主導の大型電源(原発や火力)を維持しようとする立場の対立は、今後の政策の方向性に大きく影響を与えるだろう。

有権者に求められる冷静な判断

今回の選挙では、防衛費の増額と原発の扱いという、いずれも生活や将来に直結する重要政策が問われている。防衛強化に傾くのか、平和外交を重視するのか。また、現実路線として原発を維持するのか、持続可能な再エネ社会を選ぶのか。

政党ごとに打ち出すビジョンは大きく異なるが、それぞれの主張には一定の論理と背景がある。有権者に求められるのは、感情的な反応ではなく、長期的な視点から「何が最も望ましいのか」を冷静に見極めることだ。

安全保障とエネルギー。この2つの軸は、日本という国の未来を大きく左右する争点であることは間違いない。

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