鉛製給水管は、かつてその加工の容易さや耐久性から日本全国で広く使用されていました。しかし、鉛が水道水に溶け出す可能性があり、過剰摂取すると腹痛や神経の麻痺などの健康被害を引き起こす恐れがあることが判明しました。そのため、2004年に国は「水道ビジョン」を策定し、鉛製給水管の早期全廃を目標としました。しかし、2023年3月時点で約203万件の鉛製給水管が依然として残存していることが、日本水道協会の調査で明らかになりました。
鉛製給水管の現状と健康リスク
鉛は、体内に蓄積されると中毒症状を引き起こす可能性があります。特に、鉛が水道水に溶け出すと、長期間の摂取により腹痛、下痢、神経の麻痺などの症状が現れることがあります。和歌山県の情報によれば、鉛を体内に取り込んだ場合、便などで体外に排出されますが、排出速度が遅く、排出量を上回り体内に蓄積されると、嘔吐、腹痛、下痢、乏尿、昏睡などの中毒症状が表れるとされています。
鉛製給水管の布設替えの取り組み
鉛製給水管の交換は、健康リスクを低減させるための重要な対策です。東京都水道局では、配水管から宅地内メーターまでの鉛製給水管の解消に向けて、お客様の協力のもと積極的に取り組んできました。その結果、平成18年度末には、鉛製給水管はおおむね解消されましたが、未だわずかに残存しているものもあります。
住民への周知と対応策
鉛製給水管が残存している地域では、住民への周知が重要です。青森市では、鉛管を使用されているお客様からの希望があれば、水質調査を実施しています。また、鉛管の取替えについては、工事の規模や料金について、指定工事事業者から見積もりをとってから検討することが推奨されています。
鉛製給水管の交換方法と費用
鉛製給水管の交換方法は、住宅の構造や配管の状況によって異なります。一般的には、既存の鉛管を取り外し、新しい材質の管に交換する作業が行われます。この際、壁や床を開口する必要がある場合もあり、工事の規模や料金は事前に見積もりをとることが重要です。また、鉛管の交換は個人の財産に関わるため、自己負担となることが一般的です。
鉛製給水管の交換を検討する際のポイント
- 水質調査の実施: 鉛管を使用している場合、まず水質調査を実施し、鉛の濃度を確認することが重要です。多くの自治体では、希望者に対して水質調査を行っています。
- 専門業者への相談: 交換工事は専門的な知識と技術を要するため、信頼できる専門業者に相談することが推奨されます。自治体の指定工事事業者リストを活用すると良いでしょう。
- 費用の見積もり: 工事の規模や内容によって費用は異なります。複数の業者から見積もりをとり、比較検討することが大切です。
- 工事のスケジュール調整: 工事には一定の期間が必要です。生活への影響を最小限に抑えるため、工事のスケジュールを事前に調整しましょう。
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