トランプ氏、ガザ「米国所有」計画を表明 住民移住案に国際的批判

2025年2月4日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し、パレスチナ自治区ガザ地区を米国が「引き継ぎ、所有」する意向を表明しました。トランプ氏は、ガザの建物やインフラがイスラエルの攻撃や内部の紛争で甚大な被害を受けている現状を指摘し、米国が主導して不発弾の撤去や経済開発を進めることで、地域の安定と繁栄を促進すると述べました。

さらに、トランプ氏はガザの住民約180万人に対し、エジプトやヨルダンなどの近隣諸国への恒久的な再定住を提案しました。彼は「ガザの人々は美しい土地を手に入れるべきだ」と述べ、現在のガザは「不衛生で危険」であり、再建には10〜15年を要すると指摘しました。この提案により、ガザを「中東のリビエラ」として再開発し、雇用と住宅を提供する計画を示しました。

しかし、この提案は国際的な批判を招いています。ハマスやサウジアラビア、国連のパレスチナ代表などは、住民の強制移住は「追放」や「民族浄化」に等しいと非難しています。サウジアラビアは、パレスチナ国家の樹立なしにイスラエルとの関係正常化は行わないと再度表明しました。

ネタニヤフ首相はトランプ氏の計画を支持し、「歴史を変える可能性がある」と述べました。一方で、イスラエル国内の極右勢力からは戦闘再開を求める声も上がっており、ネタニヤフ氏はこれらの勢力の離脱を防ぐための調整を迫られています。

関連記事

おすすめ記事

  1. 行き過ぎた多様性の問題点 多様性(ダイバーシティ)の推進は、現代社会において重要な課題として…
  2. 選挙のたびに政治家たちはさまざまな公約を掲げ、有権者に自らのビジョンを訴えます。 しかし、そ…
  3. 再エネ賦課金、過去最高の月1600円超 2032年まで増加見通し
    再エネ賦課金、過去最高へ 月1600円超の上乗せ負担に「国民の限界超えた」と専門家が警鐘 太…
  4. 中国のブイ撤去も日本政府の無策が残した禍根 沖縄県・与那国島の南方海域に設置されていた中国の…
  5. 新型ウイルス「HKU5-CoV-2」が中国で発見 致死率最大35%のMERS系、ヒト感染リスクに警戒
    新型コロナウイルス「HKU5-CoV-2」発見:中国で確認された“次のパンデミック候補”に警戒 …

新着記事

  1. 参院選で示された「減税」への圧倒的な民意 7月20日に投開票が行われた参院選では、ガソリンの…
  2. 日本のODAは10年で36兆円超に増加
    日本のODA支出は10年で36兆円規模へ 日本政府が海外に対して行ってきた政府開発援助(OD…
  3. 中国大使館が呼びかける「中国人襲撃への警戒」 在日中国大使館が8月18日に発表した注意喚起が…
  4. 重要な土地を外国資本に奪われるリスク 政府の動きの遅さが招く“静かなる有事” 政府が初…
  5. 米ペンシルベニア州USスチール工場で爆発 死者2人・負傷10人 日本製鉄傘下で発生 米国東部…
  6. 日本移住で大学まで学費無料?中国で密かに広がる“教育支援”悪用の動き 厚生労働省の統計によれ…
  7. 日米関係に新たな火種か 米国が日本製品に15%の追加関税を発動 「合意」との齟齬に懸念広がる …
  8. 石破政権に「ネット言論統制」疑惑 削除要請の根拠示さず批判拡大 参院選を終えたばかりの自民党…
  9. CIA資金提供疑惑と河野洋平氏の非公開要請 戦後最大級の「政治とカネ」問題が再燃 冷戦期、米…
  10. 政治と税制の透明性に関する新たな提起:マイナンバー・インボイスと政治献金の「紐づけ」へ 制度…
ページ上部へ戻る