選挙のたびに政治家たちはさまざまな公約を掲げ、有権者に自らのビジョンを訴えます。
しかし、その中で頻繁に見られる言葉、「抜本的」「全力」「飛躍的」といった曖昧な表現には注意が必要です。
一見すると力強く前向きな印象を与えるこれらの言葉ですが、実は中身の伴わない曖昧な言葉に過ぎないことが少なくありません。
- 抜本的
- 全力(投球)
- 飛躍的
- 異次元
- 改革
- 最大限の努力
- 徹底
- 革新的(劇的)
- 大胆な
- 再構築
- 国民本位のOO
- 未来志向のOO
- 持続可能なOO
- OOOを目指す
- OOOに取り組む
- OOOを後押し(支援)
- OOOを促進(推進・増進)
- OOOの充実(強化)
例をあげるとキリがありませんが、公約を少し読むだけでも上記のような曖昧な内容のオンパレードです。
こうした抽象的な表現を使う政治家は、本当に信頼に足るのでしょうか?私はそうではないと考えます。
これらの言葉は、具体性に欠けるため、有権者が期待する結果とはかけ離れた現実を招きがちです。この記事では、その理由と問題点を掘り下げ、なぜ公約には具体的なゴールが必要なのかを考察します。
抽象的な表現の魅力と落とし穴
「抜本的な改革」「全力で取り組む」「飛躍的な成長」──これらの言葉は、聞く人にポジティブで希望に満ちた印象を与えます。
しかし、それらが具体的に何を意味するのかは非常に不透明です。
「抜本的」とはどの程度の変化を指すのか?「全力」とはどの程度のリソースを注ぎ込むのか?「飛躍的」とは具体的にどれくらいの成果を目指しているのか?こうした疑問が解消されない限り、有権者はただの空虚な約束を聞かされているに過ぎません。
こうした抽象的な表現は、政治家にとって便利なツールでもあります。具体的な目標や数値を掲げると、その実現に失敗した場合に批判を受けやすくなります。しかし、曖昧な表現であれば、どんな結果であれ「努力した」と主張できる余地が残ります。これは、責任回避の手段として利用されることが多いのです。
有権者が考える「抜本的」「全力」「飛躍的」とは
有権者にとって、「抜本的」「全力」「飛躍的」という言葉は、大きな期待を抱かせるものです。
「抜本的な改革」と聞けば、現在の制度や状況が大きく改善されるイメージを抱くでしょう。「全力で取り組む」と聞けば、政府があらゆるリソースを動員して問題解決に当たる姿勢を想像するでしょう。「飛躍的な成長」と聞けば、経済や社会が劇的に進歩することを期待します。
しかし、現実には、政治家が使うこれらの言葉の意味は、有権者の期待する内容とはかけ離れていることが多いのです。
たとえば、「抜本的な改革」と言いながら、実際には小手先の変更しか行われないことがあります。「全力」と言いつつ、予算や人材を十分に投入しない場合もあります。「飛躍的」と言いながら、微々たる成長を「進歩」と称するケースも珍しくありません。
公約に必要なもの:具体的なゴールと道筋
では、政治家の公約には何が求められるのでしょうか?それは、具体的なゴールとその道筋です。たとえば、「教育環境を改善する」という曖昧な表現ではなく、「2025年までに全国の小学校にエアコンを設置する」といった具合に、具体的で測定可能な目標を掲げるべきです。
また、ゴールに加えて、その達成方法も明示することが重要です。
「抜本的な改革」ではなく、「現行制度の○○を廃止し、代わりに△△を導入する」といった具体的な手段を提示することで、有権者はその公約の現実性や効果を判断できます。さらに、実現可能性を示すための根拠や予算配分についても説明すべきです。
有権者の役割:公約の真価を見抜く目を持つ
もちろん、責任を政治家だけに押し付けるわけにはいきません。
有権者自身も、公約の具体性を見極める目を養う必要があります。投票前に候補者の公約をじっくりと読み、その中に具体的なゴールや方法が記されているかを確認しましょう。また、過去の発言や実績を調べることで、その候補者が信頼に足る人物かどうかを判断する材料が得られます。
加えて、抽象的な言葉に惑わされないことが重要です。「抜本的」「全力」「飛躍的」といった言葉が使われている場合、その具体的な意味を候補者に問いただすことが必要です。
選挙戦の中で候補者が公約を説明する場面では、質問を投げかけ、曖昧さを排除する努力をしましょう。
政治家が掲げる「抜本的」「全力」「飛躍的」といった抽象的な表現は、耳当たりは良いものの、有権者の期待を裏切る結果を招きがちです。公約には具体的なゴールとその実現方法が不可欠であり、有権者自身もその内容をしっかり見極める責任があります。
次回の選挙では、言葉の響きだけに惑わされず、真に実現可能な公約を掲げる候補者を見つけ出す努力をしましょう。それが、より良い政治と社会を築く第一歩となるのです。
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