日本郵船、再生可能エネルギー活用の洋上データセンター実験開始へ

日本郵船、再生可能エネルギー活用の洋上データセンター実験を開始

日本郵船株式会社は、2025年3月27日に、再生可能エネルギーのみで稼働する洋上データセンターの整備に向けた実験を、2025年秋より横浜市内で開始すると発表しました。この実験では、蓄電池に蓄えた電力のみで運用されるデータセンターを試験的に設置し、塩害などの環境影響を調査します。将来的には、横浜港や周辺海域での本格展開を目指しています。

プロジェクトの概要と参加企業

今回の取り組みは、日本郵船を中心に、三菱UFJ銀行、NTTファシリティーズ、ユーラスエナジーホールディングス、横浜市の5者が協力し、2025年3月27日に覚書を締結しました。実験では、横浜市の大さん橋ふ頭近くに、太陽光発電設備と蓄電池を備えたコンテナ型データセンターを設置します。将来的には、洋上風力発電による電力供給も視野に入れています。

各企業の役割

  • 日本郵船: プロジェクト全体の統括を担当します。
  • 三菱UFJ銀行: 金融面での支援を行います。
  • NTTファシリティーズ: データセンターの設計を担当します。
  • ユーラスエナジーホールディングス: 技術的な検証を実施します。

背景と目的

近年、生成AI(人工知能)の普及などにより、世界的にデータセンターの需要が急増しています。しかし、データセンターの設置場所の不足や、大量の電力消費に伴う電力供給の課題が指摘されています。このような状況を受け、日本郵船は再生可能エネルギーを活用し、環境負荷の少ないデータセンターの実現を目指しています。

過去の類似実験

日本郵船は、これまでもデータセンターの効率化や環境負荷低減に向けた取り組みを行ってきました。例えば、2024年1月には、株式会社シップデータセンターが運営する「IoS(Internet of Ships)オープンプラットフォーム」を通じて、運航する船舶から収集した海洋情報を海上保安庁に提供する実証実験を実施しています。

海外の事例

海外では、マイクロソフトが海底にデータセンターを設置し、その信頼性や実用性を検証する実験を行っています。スコットランド沖にデータセンターを沈め、2年間の運用後に回収した結果、故障率が地上の8分の1であることが示されました。これにより、海中設置のデータセンターが環境的、経済的に実用的であることが確認されています。

今後の展望

日本郵船は、今回の実験を通じて、再生可能エネルギーを活用したデータセンターの技術的・環境的な課題を明らかにし、将来的な商用化に向けた基盤を築くことを目指しています。また、横浜市や周辺地域での本格展開により、地域経済の活性化や環境負荷の低減に寄与することが期待されています。

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