
再生可能エネルギーの普及促進を目的とした「再エネ賦課金」が、国民の経済的負担を増大させているとの指摘が国会でなされました。同賦課金は、電気料金に上乗せされる形で徴収され、これまでに累計約23兆円に達したとされています。これは、子ども家庭庁の来年度予算の約5倍以上に相当する額です。一方、再エネの主力である太陽光パネルの約8割が中国産であることから、「なぜ日本国民の負担で、中国の企業を利益をもたらすのか」との疑問も提起されています。これに対し、政府は再エネ導入の重要性を強調し、国民負担の抑制策を進める意向を示しています。
再エネ賦課金の累積負担額
再エネ賦課金は、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを普及させるため、電気料金に上乗せされる形で徴収されています。日本保守党の竹上裕子衆院議員は、3月14日の衆院環境委員会で、平成24年(2012年)の制度開始から今年度までの13年間で、国民負担が累計約23兆円に達したと指摘しました。この額は、子ども家庭庁の来年度一般会計予算案約4兆2千億円の5倍以上に相当します。さらに、来年度の国民負担として約3兆円が見込まれ、累積額は約26兆円に達する見通しです。
中国産太陽光パネルへの疑問
竹上氏は、再エネの主力である太陽光パネルの約8割が中国産であることを指摘し、「なぜ日本国民の負担で、人権問題を抱えている中国の企業を利益をもたらすのか」と疑問を呈しました。これにより、再エネ普及のための国民負担が、他国の企業利益に繋がっているとの懸念が示されています。
政府の再エネ推進方針
これらの指摘に対し、政府側は再エネ導入の重要性を強調しました。環境省は、安全面や防災面、環境への影響など地域への懸念があることを認めつつも、「エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から再エネの導入を進めることが必要だ」との立場を示しています。また、FIT(固定価格買取制度)やFIP(フィードインプレミアム)制度での買い取り価格引き下げや、入札制の活用によるコスト低減を進め、国民負担の抑制を図る意向も明らかにしています。しかし、再エネ賦課金の即時廃止については、「地域との共生が重要な課題」とし、現時点での廃止は否定的な姿勢を示しています。
再エネ政策の今後の展望
再エネ政策は、地球温暖化対策やエネルギー自給率向上の観点から重要な位置を占めています。しかし、国民負担の増加や他国企業への利益供与といった課題も浮上しています。今後は、再エネ導入の促進と国民負担の適切なバランスを取る政策が求められるでしょう。また、再エネ設備の国産化や技術革新を通じて、経済的な負担軽減と産業競争力強化を図る取り組みも重要となります。
再エネ賦課金の累積負担額が巨額に達し、国民や企業への影響が懸念されています。政府は再エネ導入の必要性を認めつつ、国民負担の抑制策を講じていますが、具体的な廃止提案には消極的な姿勢を示しています。再エネ政策の持続可能性を確保するためには、国民負担の適切な管理と、産業全体の競争力強化を両立させる戦略が求められます。