日本政府、ベトナムのプラスチックごみ処理支援に3億円を供与

日本政府は、国際協力機関である国連開発計画(UNDP)と連携し、ベトナム社会主義共和国のプラスチックごみ処理能力向上を支援するため、3億7,800万円の無償資金協力を実施することを決定しました。

ベトナムにおけるプラスチックごみ問題

近年、ベトナムでは経済成長とともに都市化が進み、廃棄物の増加が深刻な問題となっています。特にプラスチックごみは、年間約180万トンが排出され、そのうち海洋プラスチック廃棄物の年間発生量は28~73万トンと推定されています。しかし、リサイクルや再利用されているのはわずか27%にとどまっており、環境汚染の主要な要因となっています。

日本政府の支援内容

今回の無償資金協力は、ハノイ市ホアラック地区に位置するベトナム国家イノベーション・センター(NIC)に対し、以下の取り組みを支援します:

  • インパクト投資ファンドの組成
  • スタートアップの創出・育成を促進する国際水準のエコシステムの構築
  • 関連人材の育成

これらの活動を通じて、ベトナム国内でのイノベーションを活性化し、持続可能な経済成長を促進することを目指しています。

UNDPとの協力

UNDPは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、世界各国で幅広い支援活動を展開しています。日本とUNDPは長年にわたり協力関係を築いており、今回のベトナムにおけるプラスチックごみ処理能力向上計画も、その一環として位置づけられます。具体的な活動内容としては、プラスチック廃棄物の削減に向けた政策提言や、リサイクル技術の導入支援、地域コミュニティへの啓発活動などが予定されています。

ベトナム政府の取り組み

ベトナム政府は、プラスチックごみ問題の深刻さを認識し、さまざまな対策を講じています。2018年から廃プラスチックの輸入規制を厳格化し、2019年6月にはプラスチック製品の使用削減に向けた方針を発表しました。これらの政策により、環境基準を満たさない企業の輸入ライセンスが取り消されるなど、廃プラスチックの管理が強化されています。

日本企業の役割

日本企業は、ベトナムの廃棄物処理分野で積極的な役割を果たしています。リサイクル技術や廃棄物発電技術の導入を通じて、ベトナムの環境問題解決に貢献しています。例えば、JUNK&CO Vietnamは、リサイクル用の古紙を輸入・回収し、ベトナム国内の企業に安価なリサイクル原料を提供しています。また、廃棄物処理ソリューションのコンサルティングを通じて、現地のリサイクル活動を推進しています。


日本とベトナムの協力は、環境問題だけでなく、経済や技術分野にも広がりを見せています。両国の地方自治体間での覚書締結や、教育機関との連携による人材育成、観光分野での交流促進など、多岐にわたる分野で協力が進んでいます。

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