旧安倍派キックバック再開問題、松本元会計責任者が証言 派閥幹部の関与否定に「不思議なこと」

2025年2月27日、衆議院予算委員会の安住淳委員長は、旧安倍派の会計責任者である松本淳一郎氏からの参考人聴取を終え、その内容を記者会見で明らかにしました。松本氏は、キックバック再開を求めた派閥幹部が現在の議員ではないと述べ、また、派閥幹部が国会でキックバック再開への関与を否定したことについて「不思議なことだ」と証言しました。

キックバックの慣行とその経緯

松本氏は、安倍派のパーティー券をノルマを超えて販売した議員へのキックバックについて、2019年に事務局長に就任した際、前任者からその慣行を引き継いだと説明しました。具体的にいつから始まったかは不明であると述べています。

2022年4月、当時の会長であった安倍元首相がキックバックの中止を決定しましたが、8月には再開が決まったとされています。松本氏は、キックバック再開を求めてきた派閥幹部が現在の議員ではないと述べています。また、8月の会議でキックバック再開が決まらなかったとする幹部の証言については、「わからない」とし、方向性を決める会議であったと述べています。

キックバック再開への関与とその後の対応

松本氏は、キックバック再開を止められなかった理由について、8月の会議でこれまでのやり方を続けることになったと説明しています。自身は「おかしい」と感じていたものの、結果として再開が決定されたと述べています。

また、改選を控える参院議員が全額を不記載とした理由については、自身の指示ではなく、安倍派のこれまでのやり方を踏襲した結果であると述べています。就任時にはノルマはなく、全て議員に帰属するものと考えていたとしています。

責任の所在と心境

松本氏は、会計の責任は全て自身にあると認めています。一連の件については個人としてどうしようもなかったとし、違法行為をしている認識はなかったが、大いに責任を痛感していると述べています。

安倍派幹部が国会でキックバック再開への関与を否定したことについては、「不思議なことだと思った」と述べています。それぞれの責任で話していることだから関知できないとも付け加えています。


松本氏の証言は、キックバック再開の経緯や関与者の特定に重要な手がかりを提供しています。しかし、派閥幹部の関与の有無やその責任の所在については、今後の調査や証言によって明らかにされるべきです。国民の信頼を回復するためにも、徹底的な真相解明と適切な対応が求められます。

この問題は、政治資金の適正な管理と透明性の確保、そして政治家の倫理観の重要性を改めて浮き彫りにしています。今後の調査と議論を通じて、再発防止策が講じられることを期待します。

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