2025年1月28日、アラスカ州のイールソン空軍基地において、米空軍のF-35A「ライトニング II」戦闘機が訓練飛行中に墜落する事故が発生しました。幸いにも、パイロットは墜落直前に緊急脱出し、無事でした。現在、医療機関で検査を受けており、容体は安定していると報告されています。
事故当時の状況について、354戦闘航空団の司令官であるポール・タウンゼント大佐は、パイロットが飛行中に不具合を経験し、着陸準備の過程で機内非常事態を宣言したと説明しています。事故の詳細な原因は現在調査中であり、再発防止に向けて徹底的な調査が行われる予定です。
ソーシャルメディアに投稿された事故当時の映像では、F-35Aが着陸装置を展開した状態で制御を失い、低高度でスピンしながらほぼ垂直に地面に墜落し、大きな炎を上げる様子が確認できます。また、パイロットがパラシュートで脱出する場面も映し出されています。
イールソン空軍基地は、アラスカ州フェアバンクスから南に約40キロメートル離れた場所に位置し、F-35Aを装備した2つの戦闘飛行隊が所属しています。基地には合計54機の最新鋭ジェット戦闘機が配備されており、2016年にF-35Aの配備が決定されて以来、基地の拡張が進められてきました。
F-35A「ライトニング II」は、米国ロッキード・マーティン社が開発した第5世代ステルス多目的戦闘機であり、米国をはじめ、韓国、英国、日本、ノルウェー、オランダ、イスラエルなど多くの国が導入しています。1回の飛行で12時間以上の滞空能力を持ち、価格は1機あたり約1億ドル(約155億円)とされています。
今回の事故は、2018年以降で11件目のF-35の墜落事故とされています。直近では、2024年5月にテキサスからカリフォルニアのエドワーズ空軍基地に向かっていたF-35がニューメキシコで墜落する事故が発生しています。
F-35Aに搭載されている射出座席は、マーチン・ベイカー社製のUS16Eシートであり、同社は今回のパイロットの無事な脱出について「F-35からの10回目の緊急脱出成功例」とコメントしています。
現在、米空軍は事故原因の徹底的な調査を進めており、再発防止に努めるとしています。また、地元住民や基地周辺を通行する人々に対しては、事故現場付近での停車や写真撮影を控えるよう呼びかけています。
F-35Aは高いステルス性能と多用途性を備えた戦闘機であり、各国の防衛戦略において重要な役割を担っています。しかし、今回のような事故が続くことで、その安全性や運用体制に対する検証が求められることとなります。今後の調査結果と再発防止策の策定が注目されます。
F35の事故
2018年9月28日:アメリカ・サウスカロライナ州
アメリカ海兵隊のF-35Bがサウスカロライナ州ビューフォート海兵隊航空基地近郊で墜落しました。パイロットは無事に脱出し、人的被害はありませんでした。この事故は、F-35シリーズ初の墜落事故として記録されています。
2019年4月9日:日本・青森県沖
航空自衛隊のF-35Aが青森県東方の太平洋上で訓練中に墜落し、パイロットが死亡しました。調査の結果、パイロットが「空間識失調」に陥った可能性が高いとされています。
2022年10月19日:アメリカ・ユタ州
ユタ州でF-35Aの墜落事故が発生しました。詳細な情報は公開されていませんが、事故の報告があります。
2024年5月:アメリカ・ニューメキシコ州
テキサスからカリフォルニアのエドワーズ空軍基地に向かっていたF-35が、ニューメキシコ州で墜落しました。パイロットは深刻な負傷を負い、病院に搬送されました。
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