
判明した「台湾対岸」上陸訓練の輪郭
2025年7月16日、中国南部の広東省・汕尾市の沖合で、民間の大型貨物船(RO-RO船)と水陸両用車が連携する「上陸訓練」とみられる動きが、人工衛星画像と船舶自動識別装置(AIS)の航跡から確認されました。港を使わずに車両や兵員を海から陸へ送り込む手順を試していた可能性があり、台湾侵攻を念頭にした準備の一端として警戒が強まります。
RO-RO船は車両が自走で乗り降りできる構造で、輸送と展開の効率が高いのが特徴です。民間船を軍の運用に組み込む発想自体が近年の重要テーマになっており、上陸作戦の「運ぶ力」を底上げする狙いが読み取れます。
軍だけでは足りない輸送力を民間船で埋める狙い
台湾侵攻の最大の難関は、ミサイルや航空戦力だけでは終わらない「上陸」そのものです。海峡を越えて大量の兵員と装備を運び、波打ち際で降ろし、拠点を維持し続けるには、軍艦だけでは輸送力が足りません。
そこで浮上するのが、民間のRO-RO船や甲板貨物船を「軍事目的に使える形で取り込む」考え方です。法制度面でも、輸送企業に国防支援を求める枠組みが整えられてきたとされ、軍民融合はスローガンではなく運用の設計図に近づいています。
RO-RO船と水陸両用車が変える上陸の前提
守る側にとって上陸の阻止は、「来る場所」を絞り込めるかどうかが勝負です。上陸点が限られれば、機雷や沿岸ミサイル、砲兵などを集中させて止めやすくなります。
ところが港に依存しない手段を増やせば、上陸候補地は一気に広がります。国際的な調査では、2025年夏に広東省沿岸で民間船が浜に接岸し、車両を直接降ろすような訓練が行われたとされ、「複数地点への同時攻撃」で防御側の判断を遅らせる可能性が指摘されています。
さらに、港の設備がなくても短時間で“仮設の桟橋”を作る発想も注目されています。浮体式の桟橋システムに該当する可能性がある装備が確認されたともされ、上陸の速度を上げる工夫が進んでいることを示します。
SNSでは不安と警戒の声が目立ちます。
「民間船まで動くなんて、現実味が増した気がする」
「港がなくても上がれるなら、守る側はきつい」
「訓練が“いつもの”になっていくのが一番怖い」
「経済の船が、戦争の船に変わる瞬間があるんだね」
「偶発でも衝突でも、引き返せなくなる気がする」
民間船は軍艦ほどの防御力がなく、速度も遅く、戦時には標的になり得ます。だからこそ「実戦で本当に使えるのか」という疑問も根強い一方、中国側は弱点を前提に、護衛や制空、ミサイルでの“排除”を組み合わせる想定を磨いているとみられます。
また、民間船を軍の作戦に混ぜることは、戦時に「軍と民間を区別する」という国際法上の考え方を揺さぶり、民間人の危険を高める恐れがあるとも警告されています。
演習は点ではなく線:2025年の訓練強化と見せ方
上陸に直結する動きは、2025年に入って目立って増えています。公式発信でも、水陸両用装甲車が編隊で海面走行する訓練写真が公開され、海上での隊形維持や波状攻撃を意識した練度向上がうかがえます。
そして2025年12月には、台湾を取り囲む形での大規模演習が報じられ、民間船を動員した上陸支援を想起させる宣伝物も示されたとされています。狙いは軍事訓練だけでなく、台湾側の不安を増幅させ、周辺国や同盟国の判断を迷わせる「見せる圧力」の側面も否定できません。
日本への影響:海上交通と危機管理の隣の現実
台湾海峡は世界の物流に直結する要衝で、緊張が高まれば海上交通や保険、企業の物流の流れにも影響が及びます。日本にとって台湾有事は「遠い海の話」ではなく、経済と安全保障が同時に揺れる話です。
2025年12月には、地域での中国艦船の動きに対し、日本と台湾が懸念を示したとも報じられました。民間船の動きも含めて兆候を読み解く必要がある以上、監視や情報共有の設計は、これまでより一段細かいものが求められます。




















