
日本、2024年度経常収支が過去最大の黒字に — 円安と海外収益が追い風
2024年度の日本経常収支、過去最高の30兆円超え
財務省が発表した2024年度の国際収支統計によると、日本の経常収支は30兆3,771億円の黒字となり、これまでの最高記録を更新した。この黒字額は、1985年度以降で最大となる。
この結果は、海外で稼いだ収益が円安の影響で大幅に増えたことが主な要因だ。特に、日本企業が海外子会社から受け取る配当や利子を示す「第一次所得収支」が41兆7,114億円の黒字となり、過去最高を記録した。
貿易収支は赤字拡大、輸出増でも輸入が上回る
一方で、貿易収支は4兆480億円の赤字となり、赤字幅は拡大した。自動車や機械などの輸出が増加したものの、スマートフォンや医薬品などの輸入がさらに大きく伸びたためだ。
特にエネルギー価格の高騰が輸入額を押し上げ、輸出の増加分を打ち消してしまった。また、サービス収支も赤字が続き、2兆5,767億円の赤字となったが、旅行収支はインバウンド回復により黒字幅が拡大した。
円安の追い風、海外収益が黒字の原動力
2024年度の平均為替レートは1ドル=152.48円で、前年から円安が進んだ。これにより、日本企業が海外で得た利益は円に換算した際に増加し、経常収支の黒字を押し上げた。
この「円安効果」により、海外子会社からの配当や利子収入が急増。特にアメリカをはじめとする先進国での投資収益が大きく貢献した。
3月の経常収支も過去最高、好調続く
また、2025年3月単月の経常収支も3兆6,781億円の黒字となり、3月としては過去最高を記録。これは、海外需要の回復により自動車輸出が好調だったことが影響している。
輸出は前年比4.1%増の106兆2,390億円、輸入は4.3%増の110兆2,870億円。エネルギーや工業製品の輸入が増えたものの、自動車や電子機器の輸出がその分をカバーした形だ。
今後の見通しと課題
このように、2024年度は日本の経常収支が大幅な黒字となったが、その一因には円安という一時的な要素もある。今後、円安が継続するか、逆に円高へ転じるかで収支の構造は大きく変わる可能性がある。
また、エネルギーや食品の輸入価格が高止まりすれば、貿易赤字の拡大が続くリスクもある。日本政府は、安定した経済成長を目指すため、輸出産業の強化やエネルギーコスト削減などの政策を進めることが求められるだろう。
ネットの反応
「円安が味方した結果。でも日本企業の海外依存が強まっているだけでは?」
「貿易は赤字でも、海外からの配当で稼げるのが日本の強み」
「円安で儲かる人もいれば、苦しむ人もいる。この二極化は心配」
「旅行収支の黒字は観光立国の成果かな。でも地元の観光地は人手不足で大変みたい」
「結局、円安頼みの黒字か。円高になったらどうする?」