
【中国が各国に警告】「中国の利益を損なう貿易合意は容認しない」対米交渉で強硬姿勢
米中貿易戦争、同盟国巻き込み激化へ 中国、報復も辞さぬ構え
中国政府が、米国と各国との貿易交渉の行方に神経をとがらせている。商務省は4月21日に発表した声明で、「米国と貿易摩擦を解消することには理解を示すが、それが中国の利益を犠牲にする形であってはならない」と強調。仮にそのような事態が生じた場合は、「断固たる対抗措置をとる」と明言した。
声明にはさらに、「中国は関係国との連帯を深め、一方的で覇権的な行動には共同で対処していきたい」との文言も盛り込まれており、米国の関税圧力に対抗する姿勢が改めて示された。
【「セカンダリー関税」も選択肢に】 米国が同盟国に要請
背景には、トランプ米政権が中国製品への制裁関税を再強化しつつあるという事実がある。関係筋によれば、ホワイトハウスの経済顧問団は、中国経由で他国に流れ込む製品を規制するため、輸入先の国々に「セカンダリー関税」(間接制裁)を課す選択肢も検討しているという。
つまり、各国が中国とのつながりを断ち切るか、さもなければ米国市場へのアクセスを制限されるか――という形で“踏み絵”を迫られているわけだ。
米国がとくに注視しているのは、ベトナムやマレーシアといったASEAN諸国。これらの国を経由する中国製品が「第三国製」にすり替えられ、関税回避の温床になっているとの懸念が背景にある。
【東南アジア歴訪】 習主席、自陣営強化を急ぐ
こうした米国の動きに対し、中国も黙ってはいない。習近平国家主席は先週、ベトナム、マレーシア、カンボジアの3カ国を歴訪。「アジアの家族」として結束を呼びかけ、米国の圧力に対抗する包囲網の形成を訴えた。
中国はまた、欧州にも歩み寄りを見せており、ドイツやフランスとの通商協議も加速させている。実際、EU内部では米国の「強硬すぎる通商政策」に対して一定の警戒感もあり、中国との“程よい距離感”を模索する動きがある。
【各国の対応分かれる】 利害と圧力のはざまで
各国の対応はまちまちだ。ロイター通信によると、ベトナム政府は既に国内に流入する中国製品の取り締まりを強化する方針を固めた。米国との経済関係を重視する姿勢がにじむ。
一方、日本やインドネシアは、米国との交渉を継続しつつも、中国との貿易・投資関係を簡単には切れない。ASEAN諸国にとって中国は最大の貿易相手でもあり、「どちらか一方につく」という選択は容易ではないのが実情だ。
【米中対立、出口見えず】 世界経済への影響も懸念
米中間の緊張は、今後さらにエスカレートする可能性がある。トランプ氏は中国に対して「先に歩み寄るべき」と圧力をかける一方、中国側は「米国が一方的な制裁を撤回しなければ交渉には応じられない」と応戦する構えを崩していない。
このまま歩み寄りが見られなければ、サプライチェーンの混乱、輸出入の停滞、原材料価格の高騰など、世界経済に与える影響は無視できないレベルに達する。
- 中国は「自国の利益を損なう協定は断固拒否」と警告
- 米国は「セカンダリー関税」などで中国包囲網を模索
- 中国は東南アジア諸国と連携強化、包囲網をけん制
- 各国は米中間での板挟みに苦慮
- 世界経済の先行きは不透明さを増している
この先、米中どちらが一歩譲るか、あるいは譲らないまま全面対立に突き進むのか。各国の選択が、次の国際秩序を左右する局面が近づいている。
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