旧統一教会解散命令請求巡り証拠捏造の主張、文科相は公表を不適切と反論

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求を巡り、東京地方裁判所での非公開審理において、教団側が文部科学省(文科省)の提出した証拠に捏造が含まれていると主張しています。これに対し、阿部俊子文科相は証拠内容の公表を不適切とし、反論しています。

教団側の主張

2025年2月19日、旧統一教会は「文部科学省による虚偽証拠捏造行為」と題した報告書を公表しました。報告書によれば、文科省が東京地裁に提出した信者や元信者261人の陳述書の多くは、文科省職員が聞き書きで作成したものであり、審理の過程で元信者2人を証人尋問したところ、本人の認識にない内容が含まれており、署名捺印も確認しないままであったことが判明したと指摘しています。また、ある現役信者は、文科省の担当者から意図を告げられずに体験談を聞き出され、陳述書にされたと述べています。さらに、陳述書に「(教団に)解散してもらいたいと願うばかりです」と記載されているが、そのような発言はしておらず、被害者という自覚もないとして、訂正を求めています。他の陳述書では、教団で使用しない用語や誤字が見受けられ、文科省担当者の作文であると主張しています。また、教団に在籍記録がない人物の陳述書も含まれていると指摘しています。

文科省の反応

これに対し、阿部文科相は2025年2月21日の記者会見で、「解散命令請求は適切に行った」と述べました。また、「裁判に提出した証拠の内容を明らかにするかのような書面を公表したことは、審理を非公開とする趣旨に反しており、適切ではないとの認識を裁判所に伝えた」と述べ、陳述書の正確性には言及しませんでした。

解散命令請求の背景

文科省は、旧統一教会が組織的かつ継続的に悪質な献金集めを行っているとして、2023年10月に解散命令を請求しました。教団側はこれに対し、具体的な法令違反が特定されていないと反論しています。過去には、オウム真理教や明覚寺などが法令違反を理由に解散命令を受けた事例がありますが、今回のケースはその後に続く重要な判断となる可能性があります。


現在、東京地裁での審理は非公開で行われており、双方の主張が交錯しています。教団側の証拠捏造の指摘と文科省の反論が続く中、裁判所の判断が注目されています。解散命令が下されるかどうか、またその影響が社会に与える影響について、今後の動向が注視されています。

旧統一教会解散命令の証拠捏造疑惑 文化庁が提出拒否

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