
日本発の核融合技術で世界初!高温超電導コイル実証に成功
2025年10月27日、日本のスタートアップ企業「ヘリカルフュージョン」が、核融合発電に不可欠な高温超電導コイル(HTSコイル)の通電実験に世界で初めて成功したと発表しました。
このコイルは絶縁体を使わない無絶縁型コイルで、複数の超電導テープを束ねる構造です。今回の実験では、40キロアンペアという非常に大きな電流を流しながらも破損せず、安定した磁場を発生させることに成功しました。これは核融合炉の実用化に向けた重要なステップです。
実験は岐阜県の核融合科学研究所(NIFS)の大型試験装置で行われ、外部から強い磁場がかかる環境下でもコイルが安定して動作することを確認。大型の高温超電導コイルで、これだけの条件をクリアしたのは世界初の快挙です。
ヘリカルフュージョンは、この成果を受けて2030年代の稼働を目指す最終実証装置「Helix HARUKA(ヘリックス・ハルカ)」の建設に着手します。建設場所はすでに決定しており、半年以内に公表される予定です。
ヘリカル方式とは?日本独自の核融合炉設計
ヘリカルフュージョンが採用するのは、トカマク型とは異なる「ヘリカル方式」です。
ヘリカル方式は、ねじれたコイルで作られる磁場の“かご”に高温プラズマを閉じ込める方式です。プラズマとは、電子と原子核がバラバラになった非常に高温の物質で、核融合反応が起こる中心です。
この方式の利点は、プラズマ中に大きな電流を流す必要がなく、安定した核融合を長時間維持できることです。さらに、高温超電導技術と組み合わせることで、小型でも強力な磁場を作れるため、装置全体をコンパクトにでき、実用炉の建設が現実的になります。
核融合が実現するクリーンエネルギー「人工太陽」
核融合は、地上で太陽と同じ反応を起こすことでエネルギーを生み出す技術です。特徴は次の通りです。
- CO₂を排出せず地球温暖化対策に貢献
- 燃料は海水由来でほぼ枯渇しない(重水素など)
- 高レベル放射性廃棄物がほとんど出ない
このため、核融合は「究極のクリーンエネルギー」と呼ばれています。また、核融合で必要なプラズマ制御技術は、宇宙探査やロケット推進技術にも応用可能で、人類の科学技術を大きく進化させる可能性があります。
ヘリカルフュージョンは2030年代に「Helix HARUKA」を稼働させ、その後、発電用の炉「Helix KANATA」を建設する計画です。これが成功すれば、日本は世界の核融合開発でリーダー的存在になることが期待されています。
高温超電導コイルが開く核融合の新時代
今回実証された高温超電導コイルは、核融合炉の「心臓部」にあたります。特徴は以下です。
- 無絶縁型で大電流を安全に扱える
- 外部磁場による強い力にも耐える
- 高温超電導技術を使うことで小型化・省エネ化が可能
この技術は核融合だけでなく、MRIや医療機器、輸送システム、高磁場研究など幅広い分野への応用が可能で、日本の超電導技術全体の発展にもつながります。
商用化に向けた課題と展望
もちろん課題もあります。
- 実験は成功したが、まだ商用炉そのものではない
- 熱を取り出す装置やプラズマ制御装置などの統合が必要
- 建設や運用コスト、資金確保の課題
- 安全性や法律の問題もクリアする必要がある
それでも、今回の成果は商用核融合の可能性を大きく前進させるものです。2030年代に人工太陽が地上で稼働する未来も現実味を帯びてきました。
日本が核融合で世界をリード
ヘリカルフュージョンは、世界初の無絶縁型大型高温超電導コイルを成功させ、人工太陽実現に向けて大きく前進しました。
核融合が実用化されれば、CO₂を出さず安全で安定したエネルギー供給が可能になり、地球環境や人類の生活に大きな影響を与えます。日本が世界の核融合開発でリーダーになる日も近いと言えるでしょう。





















