CIAが自民党に巨額資金提供 河野洋平氏が米側に文書非公開要請 戦後最大の政治資金疑惑が再燃

CIA資金提供疑惑と河野洋平氏の非公開要請 戦後最大級の「政治とカネ」問題が再燃

冷戦期、米中央情報局(CIA)が日本の自由民主党に多額の資金を渡していたとされる問題で、新たな事実が浮かび上がった。今春公開された米政府の機密文書によると、1994年当時の河野洋平副総理兼外相(自民党総裁)が、駐日米大使ウォルター・モンデール氏に対し、この資金提供に関する米側の公文書を公開しないよう求めていたことが記録されていた。自民党は当時、米メディアの報道を全面否定しており、国民に事実を隠した形となる。戦後80年を迎える今、この「政治とカネ」を巡る最大級の疑惑は、日米関係の根幹に関わる課題として再び注目されている。

1994年に世界を揺るがせた衝撃スクープ

1994年10月、米紙ニューヨーク・タイムズは、日本の共産化を防ぐためにCIAが1950~60年代、自民党や有力政治家に数百万ドルを極秘に提供していたと報じた。当時は1ドル=360円の固定相場制で、現在価値に換算すれば数十億円規模に相当する。この報道は、実名証言や元CIA関係者の証言に基づくもので、戦後日本政治の舞台裏を暴く内容として世界的に大きな反響を呼んだ。

しかし、日本政府と自民党は強硬な姿勢で否定。河野氏は国会や会見で「事実は全くない」と発言し、森喜朗幹事長(当時)も「迷惑な話」と一蹴した。

機密文書が示す“隠蔽工作”の痕跡

ところが、今年春に米国が公開したケネディ大統領暗殺関連の機密文書の中に、注目すべき記述が見つかった。それは「東京支局の公式認定」と題された1996年3月作成のCIA関連資料で、CIA東京支局の存在や活動に関する情報の非公開を求める日米間のやりとりが記録されている。

文書には、1994年のニューヨーク・タイムズ報道に触れた項目があり、「この話に信ぴょう性を与える事実があれば、自民党は深刻な政治的打撃を受ける」と記されていた。そして続けて、「当時の外相で自民党総裁だった河野洋平氏は、自らモンデール大使に会い、米政府がこの件に関する文書を公開しないよう要請した」と明記されている。

さらに、河野氏は「うわさや証拠のない情報であれば対処できるが、日本でのCIA活動を公式に確認することは、保守政治家だけでなく日米安全保障関係にも損害を与える」と説明し、米側に強く非公開を求めたとされる。

河野氏は「記憶が定かでない」と回答

この件について河野氏に取材を申し込んだところ、今年7月、事務所を通じて「30年前のことで記憶も確かではないため、取材は受けられない」との回答があった。明確な説明や釈明はなく、事実関係は依然として闇の中だ。

戦後政治の暗部とCIAの影響力

この問題の背景には、冷戦期における米国の対日戦略がある。CIAは戦後日本で共産主義の浸透を防ぐため、保守勢力への資金提供やメディア工作を行ってきたとされる。正力松太郎(読売新聞社主・日本テレビ創設者)がCIAの協力者として活動した記録や、児玉誉士夫らを通じた資金流入の証言も残されている。こうした活動は、自民党の結党や長期政権を支える一因になったと指摘する研究者も多い。

文書公開の意義と今後の課題

今回の文書公開は、トランプ政権時代のケネディ暗殺関連資料の全面開示方針の流れの中で実現した。その副産物として、長らく憶測にとどまっていた「CIAによる自民党資金提供」の裏付けになりうる情報と、河野氏の非公開要請という事実が明らかになった。

これは単なる過去のスキャンダルではない。国民に対して虚偽または不完全な情報が提供され、外交と安全保障に関わる重大な事実が隠された可能性がある以上、日米双方に説明責任が求められる。特に日本側は、政治とカネの透明性や、民主主義の根幹である情報公開の在り方が問われている。

信頼回復には全容解明が不可欠

戦後80年を経た現在、国民はこの問題の真相を知る権利がある。米政府はCIA東京支局の活動目的や規模、資金提供の実態を明らかにすべきであり、自民党も関係者の証言や記録を基に事実関係を説明する責務を負っている。

日米両国が過去の「負の遺産」に正面から向き合い、事実を共有することこそが、今後の同盟関係の信頼を守る唯一の道だ。

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