外国人ドライバーによる交通事故が増加 日本の免許制度の甘さが安全を脅かす

外国人ドライバーの事故が増加傾向 免許取得のハードルの低さが安全脅かす

日本で車を運転する外国人による重大な交通事故が、再び増加の兆しを見せている。警察庁はこのほど、外国人ドライバーによる死亡・重傷事故の統計を初めて公表し、2025年上半期だけで200件を超えたことを明らかにした。これは過去に一時減少していた数字が、再び上昇に転じたことを示す。

交通事故の背景には、外国人による「外免切り替え」を通じた日本の免許取得制度の甘さがあるとの指摘もある。現在、日本では特定の国や地域で取得した運転免許であれば、比較的簡単な手続きで日本の免許に切り替えることが可能だ。場合によっては、実技試験を免除されたまま日本国内で運転できるケースもあり、これが事故増加の一因となっていると見る専門家もいる。

事実、今回の警察庁のデータでは、事故を起こした外国人のうち「日本の免許」を持っていた人が全体の84.5%を占めていた。「国際免許」や「外国免許」での運転よりも、「形式上は日本の免許」で事故を起こしたケースが圧倒的に多いという結果だ。この「日本の免許」の中には、海外で取得した免許を簡単な手続きで切り替えた、いわゆる「外免切り替え」も含まれているとみられている。

この制度は、日本社会の国際化を推進するために設けられたものだが、裏を返せば、日本の交通事情やルールに十分に慣れていない外国人が、安全教育を受けずに運転している実態を見逃してきたとも言える。結果として、そうしたドライバーが事故を引き起こし、日本人の安全な暮らしを脅かしているのが現状だ。

国別で見た場合、韓国・中国の両国がともに51件で最多となり、ベトナム(31件)、ブラジル(25件)、フィリピン(17件)と続いている。これは在留外国人数の多さとも一定の相関があるが、地域や文化によって交通ルールやマナーの違いがある以上、一律に「切り替え可能」とする制度の是非も再検討されるべきだろう。

実際、警察庁は今回の統計公表に合わせて、「外免切り替え」制度の審査を厳しく見直す改正案を発表している。具体的には、実技試験や知識試験の導入拡大、より厳密な本人確認や運転経歴のチェックを検討しており、これが事故の抑止につながることが期待される。

また、運転技術だけではなく、標識の意味や日本特有のルール(例:歩行者優先の徹底、通学路での徐行義務など)への理解不足も、事故の背景にある。多言語での交通教育の整備や、在留外国人向けの安全講習会の強化も不可欠だ。

今後は、免許制度の見直しに加えて、自治体や企業、地域社会による啓発活動と支援の強化が求められるだろう。日本人だけでなく、外国人自身の命と暮らしを守るためにも、抜本的な制度改革が急がれる。

「日本で運転する外国人が増える中で、免許取得のハードルがあまりに低すぎる。このままでは日本人の生活が危険にさらされ続けることになる」

こうした声は現場の交通警察や住民からもあがっており、問題はすでに「国際交流」や「多様性」の名のもとに看過できる段階を過ぎている。

外国人が簡単に日本の免許を取得できることが、重大事故の増加を招いている――。この現実を直視し、誰もが安心して暮らせる交通社会の構築が急務である。

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