ガソリン税の暫定税率を11月廃止へ 野党8党が共同法案提出で一致、物価高対策を加速

野党8党が団結、ガソリン暫定税率の11月廃止へ法案提出へ

ガソリン価格の高止まりが続く中、立憲民主党や日本維新の会をはじめとする野党8党が、ガソリン税に上乗せされている「暫定税率」の廃止に向けて動き出した。29日に国会内で行われた政策責任者会議では、施行日を11月1日とすることで各党が足並みを揃え、8月1日召集予定の臨時国会に共同で法案を提出することを決定した。

この「暫定税率廃止法案」は、すでに今春の通常国会にも一度提出されている。衆議院では野党7党の賛成により可決されたものの、参議院では与党が採決自体を見送り、廃案となっていた。今回、新たに一党を加えた8党体制で再挑戦する形だ。物価高に苦しむ国民の声を背景に、改めて与党側に再考を迫る狙いがある。

物価高への実効的対策か、選挙戦略か

ガソリン税における暫定税率は、1970年代のオイルショックを契機に導入された経緯がある。現在のガソリン価格には、1リットルあたり53.8円もの税金が含まれており、そのうち約25円がこの「暫定」部分にあたる。これが撤廃されれば、家計にも企業活動にも大きな影響が及ぶ。

今回の動きについて、立憲民主党の幹部は「国民の負担を少しでも軽くするためには、ガソリン税の見直しは不可欠だ」と強調。れいわ新選組や国民民主党、日本維新の会なども、物価高対策としての減税措置を重視しており、消費税の一時的な引き下げや社会保険料の減額など、国民生活に直結する政策を次々に打ち出している。

市民からはSNS上で以下のような声があがっている。

「ガソリン代が高すぎて通勤すらきつい。暫定税率の廃止は賛成」
「今さらだけど、なんでこんなに長年“暫定”が続いてるの?」
「野党が珍しく団結してる。もっとこういう動き増やして」
「与党がブロックするなら、参院選で民意を示すしかない」
「廃止しても、その分別の税金が増える気がして不安」

一方で、政府与党側は慎重な立場を崩していない。特に財務省は、暫定税率を廃止すれば年間で1兆円以上の税収が減少すると試算しており、社会保障や地方財政への影響を懸念している。

国会攻防は必至、財源確保が焦点に

今回の臨時国会では、法案の行方は与党との駆け引きに委ねられる。衆議院での再可決は見込まれるものの、参議院での審議は不透明だ。与党は財源対策が不十分との立場から、法案の内容に修正を求める可能性もある。特に加藤財務相は「ガソリン税収は道路整備や防災インフラに充てられており、減税の議論には財源の裏付けが欠かせない」と述べ、歳出削減や別の税目での補填を含めた議論を求めている。

野党側はこうした指摘に対し、「国民の命と生活を守る観点から、先に負担軽減を図るのが政治の責任だ」と反論。中には、政府与党が減税に及び腰な姿勢を見せるのは、「選挙での政権交代を恐れている証拠だ」と語る議員もいる。

今回の法案は、単なるガソリン価格の話にとどまらず、「国民の生活」と「税のあり方」を問う政治闘争の象徴とも言える。

「暫定」の名を借りた永続課税に終止符を

ガソリンの暫定税率が続いてきた背景には、景気対策・災害復興・インフラ整備といった「その場しのぎの理由」が並べられてきた。しかし、国民の視点から見れば、50年近くも「暫定」として残る税制は、すでに制度疲労を起こしている。

ガソリン価格が高止まりし、地方の車社会を直撃している中、今回の法案は単なる減税ではなく、「国民に寄り添う政治」を体現できるかどうかの試金石でもある。

与党がどう対応するのか、臨時国会の審議に注目が集まる。市民の切実な声を前に、政治はどれだけ真剣に向き合えるのか。暫定税率の是非をめぐる議論は、今後の日本の税と社会保障のあり方を大きく左右するものとなりそうだ。

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