中国軍機が航空自衛隊機に異常接近 東シナ海で2日連続、政府が再発防止を強く要求

連続した異常接近が明らかに

防衛省は10日、東シナ海上空の公海で9日と10日の2日間、中国人民解放軍のJH7戦闘爆撃機が航空自衛隊のYS11EB電子測定機に危険な距離まで接近したと発表した。9日は水平30メートル・垂直60メートル、10日は水平60メートル・垂直30メートルという“紙一重”の距離で、後方から追い越した機体が旋回して再び迫る行為を繰り返したという。自衛隊関係者は「操縦を誤れば衝突してもおかしくない」と語り、現場では緊迫感が高まった。

政府、深刻な懸念と再発防止を要求

事案を受け、船越健裕外務事務次官は10日午後、中国の呉江浩駐日大使を呼び出し、「偶発的衝突を招く極めて危険な行為だ」と厳重に抗議した。政府は中国側に自制を求めると同時に、米国など同盟国・同志国とも情報を共有。自衛隊内では電子測定機に護衛機を同行させる案や、スクランブル態勢の強化なども検討されている。与党幹部は「事態が常態化すれば、来年度以降の防衛費編成に直結する」と強調した。

背景にある東シナ海の緊張

尖閣諸島周辺での中国公船の活動や、防空識別圏の一方的設定など、東シナ海では近年「力による既成事実化」の動きが続く。軍事専門家は、今回の異常接近について「日本の情報収集活動をけん制し、同時に国際社会へ示威する狙いがある」と分析。6月には太平洋上でも類似の事案が起きており、中国が空と海の両面でプレゼンスを誇示する構図が鮮明になっている。

国内外の反応と今後の課題

「いつ事故が起きても不思議じゃない距離だ」
「挑発に屈しない抑止力を示すべき」
「外交だけでなく現場の安全対策を急げ」
「東シナ海は国際的な航行の要衝、各国でルールを共有して」
「防衛費議論がますます現実味を帯びる」

野党からは「防衛装備品の近代化だけでなく、現場のオペレーション改善が必要だ」との声が上がり、市民団体は「緊張を高める連鎖を断ち切るための対話が不可欠」と訴える。海外メディアも一斉に報じ、地域の安定に向けた日中両国の責任を指摘した。

政府が求められるのは、①国際法に基づく一貫した抗議と情報公開、②同盟国との共同監視体制の強化、③安全保障と外交を両立させた危機管理の仕組みづくりだ。東シナ海での緊張は一朝一夕に解消しない。だからこそ日本は、的確な情報発信と即応態勢の向上で、地域の秩序を守り抜く姿勢を示す必要がある。

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