教師による女子児童盗撮と性的ディープフェイクが横行 “学校内犯行”の深刻な実態が発覚

女子児童盗撮、SNSで共有 “教師だけの盗撮コミュニティ”発覚

愛知県警は6月24日、名古屋市立小学校に勤務する主幹教諭・森山勇二容疑者(42)と、横浜市立小学校教諭(37)の2名を、「女子児童の下着や性的姿態を盗撮し、SNSのグループで共有した」として、児童福祉法ならびに性的姿態撮影等処罰法違反の疑いで逮捕・送検したと発表しました。容疑を認めており、盗撮された映像はグループ内で約70点に及ぶとみられています 。

発覚のきっかけ──体液付着事件から浮上

事件は当初、森山容疑者とは別の教員による「駅ホームでリュックへの体液付着」といった器物損壊事件で発覚。それを捜査する中でSNSグループの存在が明らかになったといいます。

“教師だけの盗撮コミュニティ”の衝撃

NPO「ひいらぎネット」の代表でSNSパトロールをしている永守すみれさんは、「教師だけが参加する盗撮グループ」の存在に衝撃を受けたと語ります。以前から盗撮コンテンツの監視は実施していたものの、教師限定で活動するコミュニティは初耳で、「非常に秘匿性が高く、学校内で撮影されたものも多い」と証言しています 。

特に「学校のカメラを使って教壇そばから撮影されたスカート内映像」や、「卒業アルバムの写真を裸に加工する性的ディープフェイク」など、悪質性の高いコンテンツも含まれている点について、永守氏は「どんどん悪質性が高くなってきている」と警鐘を鳴らしています。

学校現場の信頼と保護者の不安

6月27日、森山容疑者の勤務校では、約3時間半に及ぶ保護者説明会が開催されました。参加した保護者からは、

「隠しカメラがあるかもしれないのではと不安」
「“良い先生”と言われていた人がやった。もう信じてはいけないのかもしれない」

といった声が相次ぎ、着替えを伴う体育の授業の中止や、校内の管理体制見直しを求める声が上がっています。

名古屋市教育委員会は、全市立小中学校を対象に類似事件がないかどうかの独自調査を実施すると表明しました 。

法的観点と専門家の警告

“性的ディープフェイク”についても捜査関係者は確認済みと指摘。卒業アルバムの写真を裸に加工するケースは、写実性と悪意の組み合わせで心理的苦痛も無視できず、専門家は「児童ポルノ法違反だけでなく、名誉棄損の可能性も高い」と法的枠組みが複数絡む重層的な構造を指摘しています (asahi.com)。

また、あいち刑事事件総合法律事務所は、「盗撮そのものに加えてSNSで共有する行為は『性的映像記録提供罪』にも抵触する」と分析し、最大で5年以下の懲役および500万円以下の罰金もあり得ると説明しています 。

対策の限界と現場の苦悩

永守氏は、学校側が実施可能な安全対策について、

  • 更衣室を別途用意し出入口に監視カメラを設置する
  • 生徒や保護者に対して「誰かがおかしいと感じたら、複数の先生に知らせる習慣」を推奨する

などの提案を挙げつつ、「それでも完全ではない」と現状の限界にも言及しています 。

その理由として、「一人の先生が秘匿できない環境をいかに作るか」「生徒自身が声を上げやすい体制作り」が重要との認識も示しています。

今後の課題──学校と社会で取り組むべき視点

教育現場の信頼回復と体制強化

名古屋市教育委と同様に、全国の教育委員会でも類似事件の有無を精査し、教職員への定期的なネットリテラシーや倫理の再教育が急務です。また、校内設備や動線整備、監視体制の見直しについても再検討が必要でしょう。

法整備と罰則強化

既存の「児童福祉法」や「児童ポルノ禁止法」に加え、「性的映像記録提供罪」など、送信行為そのものに対する罰則が適用される可能性もある中、ICT技術に対応した法整備と実効性ある運用が求められます。

インターネット上の監視とプラットフォーム責任

SNSプラットフォーム側にも、児童盗撮や性的ディープフェイクなど違法コンテンツの早期発見・削除体制の強化と、発信者特定への協力義務が不可欠です。専門家やNPO、警察との連携窓口設置も検討されています。

生徒および家庭への教育啓発

生徒自身が「何かおかしい」と感じたときに家族や学校に相談できる環境を育むため、道徳教育や家庭内でのコミュニケーション促進が重要です。学校は保護者会の場で現状のリスクと対応について説明し、共に支える姿勢を示す必要があります。


今回の事件は、子どもたちの安心・安全が最優先である学校という場で、教育者による重大な裏切りが行われた衝撃的なケースです。ネット空間の匿名性と技術の進化により、被害の形はますます悪質化・巧妙化しています。

この事件をただの個別犯罪として終わらせず、教育・ICT・法制度・地域社会が一体となった再発防止策を構築することこそ、今求められている真の責任だと言えるでしょう。

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