衆院選2026の争点「ジェンダー・多様性」公約比較 選択的夫婦別姓と同性婚、賃金格差で分かれる各党の立ち位置

衆議院選挙は2026年2月8日に投開票です。今回、「ジェンダー・多様性」は“暮らしの制度”そのものに直結する争点として、各党の違いがはっきり出ています。
なぜ今「ジェンダー・多様性」が選挙の争点になるのか
結婚、仕事、子育て、相続、名前、学校、職場。こうした日常の場面で「当たり前にできるはずのこと」が、制度の壁で止まる人がいます。ジェンダーや多様性の政策は、価値観の話に見えがちですが、実際には行政手続きや雇用慣行、法制度の設計そのものです。だから各党は、理念よりも「どの制度を変えるか」「どこは変えないか」を言葉にせざるを得ません。
一方で、この分野は“対立が先に立つ”のも事実です。選択的夫婦別姓や同性婚のように、賛否が割れやすい論点ほど、各党は「全面導入」「部分対応」「現状維持」に分かれます。ここが見えれば、投票の判断材料としてかなり強い武器になります。
夫婦の姓は「別姓」か「通称使用の法制化」か
今回の大きな分岐点は、姓の問題を“別姓という制度で解決する”のか、それとも“旧姓の通称使用に法的な裏付けを与えて対応する”のかです。
自由民主党は、旧氏(旧姓)の通称使用を法制化する方針を掲げています。狙いは、現行の戸籍の枠組みを大きく変えずに、仕事や手続きの不便を減らすことです。
これに対して、国民民主党は選択的夫婦別姓の導入を明確に打ち出し、戸籍制度は維持したまま不利益を解消する設計を示しています。法案提出の説明でも「戸籍は維持」「子の姓は婚姻時に決める」と具体に踏み込んでいます。
中道改革連合は、選択的夫婦別姓の実現を掲げ、さらにクオータ制など政治参加の制度にも言及しています。
参政党は、別姓制度への慎重姿勢が強く、戸籍や家族の一体感への影響を問題視する文脈で議論しています。党内調査の公表なども行っています。
そしてチームみらいは、「姓の変更による不利益を解消すべき」という問題意識を前面に出しつつ、選択的夫婦別姓を“有力な考え方”として、国民の声を集めて検討するとしています。さらに事実婚の法的保護の整備もセットで語ります。
同性婚とLGBT政策は「法制化」か「見直し」か
同性婚をめぐっては、法制化を明確に掲げる党と、記載が薄い党、逆方向の見直しを唱える党に分かれます。市民団体が各党の公約や回答を整理した資料でも、差がはっきり出ています。
日本共産党は、同性婚の法制化を含むLGBT/SOGI政策を体系立てて掲げています。
れいわ新選組は、同性婚の法制化とLGBT差別解消法の制定を明確に掲げています
社会民主党も、選択的夫婦別姓や同性婚の法制化、事実婚の法的保護を推進する立場で、選挙特設ページを設けています。
一方、日本保守党は、LGBT理解増進法の改正、とくに児童への教育に関する条文の削除を政策項目に入れています。
賃金格差と政治参加は「お願い」か「義務化」か
ジェンダー政策は、家族制度だけでなく、働き方と賃金の問題にもつながります。たとえば男女賃金格差の是正をどう進めるか。ここは“企業の自主努力を促す”のか、“公表や計画づくりを義務として進める”のかで差が出ます。
共産は、賃金格差の実態を正確に公表させ、是正計画の策定を義務づけ、政府が監督・奨励する仕組みを掲げています。党の政策ページでも、ジェンダー平等と女性の政治参加を一体で扱っています。
中道はクオータ制に言及し、政治参加を制度で押し上げる方向を示します。ここは「候補者の数を増やす努力」より踏み込んだ設計です。
また、日本維新の会は、男女共同参画社会の実現や、出産・育児を理由に不本意な離職や非正規化を選ばないようキャリア形成を支援する方針を示しています。
有権者が「比較」するときの現実的な見方
このテーマで迷ったら、まず3点だけ見れば十分です。第一に、姓の問題を「別姓で解決」するのか「通称使用の法制化」で止めるのか。第二に、同性婚を「法制化」まで書くのか、周辺施策にとどめるのか。第三に、賃金格差や政治参加を「義務・制度」で動かすのか、「支援・促進」で動かすのかです。
そして、マニフェストが未掲載だったり、記載が薄い党もあります。その場合は「書けない事情がある」のか「優先順位が低い」のかを見極める必要があります。少なくとも“書かれていない政策は、実現の責任も曖昧になりやすい”。これは選挙報道の現場で繰り返し確認されてきた現実です。
SNSの声
「名字の変更って、こんなに人生の手間になるんだね」
「結婚できないまま年だけ重なるの、つらい」
「職場の空気で黙るしかないのが一番きつい」
「子どもに説明できる社会にしてほしい」
「争点だって言うなら、言葉でちゃんと書いてほしい」
各党公約の比較表
※表の政党名は略称です(本文の正式名と対応しています)。
| 政党(略称) | 夫婦の姓(別姓/通称) | 同性婚 | LGBT関連 | 賃金格差・政治参加 |
|---|---|---|---|---|
| 自民 | 旧姓の通称使用を法制化 | 明記薄め(テーマ外で扱い) | 理解増進法は現行枠 | 具体策は分野で差 |
| 維新 | 男女共同参画・女性キャリア支援(姓は別テーマで議論) | 明記は限定的 | 記載は限定的 | 働き方の制度設計重視 |
| 中道 | 選択的夫婦別姓 | 婚姻平等法で法制化 | 権利保障を拡張 | クオータ制を掲げる |
| 国民 | 選択的夫婦別姓(戸籍維持の設計) | 記載は資料で確認が必要 | 差別是正の論点あり | 分野横断で扱う |
| 共産 | 選択的夫婦別姓 | 法制化 | LGBT/SOGIを体系化 | 賃金格差の公表・是正を強化、政治参加も推進 |
| れいわ | 選択的夫婦別姓 | 法制化 | LGBT差別解消法を制定 | 少数者排除の是正を明記 |
| 参政 | 別姓に慎重(戸籍維持を重視) | 党の立場は資料で要確認 | 記載は限定的 | 価値観色が強い |
| 減税連合 | マニフェスト未掲載(調整中扱い) | 資料不足 | 資料不足 | 資料不足 |
| 保守 | 姓は別テーマ(保守的枠組み) | 記載は限定的 | LGBT理解増進法の改正(教育条文削除) | 文化・教育の論点が中心 |
| 社民 | 選択的夫婦別姓 | 法制化 | 事実婚も法的保護 | ジェンダー平等と政治参画を推進 |
| みらい | 別姓を有力案として多角検討+事実婚の保護 | 公式ページに明記あり | パートナーシップの法整備 | 実務(税・社保・相続)に寄せる |
各党の公約内容
自由民主党
旧姓の通称使用を法制化し、改姓できない不便に寄り添う設計です。戸籍や同姓の枠組みは維持しやすい一方で、「別姓を選びたい」という要求には制度としては届きにくい、という評価軸になります。
日本維新の会
男女共同参画と女性のキャリア形成を前面に出し、出産・育児による不本意な離職を減らす方向です。家族法の変更より、雇用と働き方の制度で詰めていくタイプです。
中道改革連合
選択的夫婦別姓とクオータ制、そして婚姻平等法で同性婚を法制化する設計です。制度をまとめて動かす“パッケージ型”で、分かりやすい反面、反発も受けやすい路線です。
国民民主党
選択的夫婦別姓を導入しつつ戸籍は維持する、という“制度設計”を明示しています。賛否が割れる論点ほど、こうした設計の具体性が判断材料になります。
日本共産党
選択的夫婦別姓と同性婚の法制化に加え、LGBT/SOGIの政策を体系化しています。賃金格差の公表・是正など、企業に踏み込む手法が特徴です。
れいわ新選組
同性婚の法制化、LGBT差別解消法、選択的夫婦別姓をセットで明記し、「少数者が排除されない」ことを政策の中核に置きます。権利保障を強く押し出すタイプです。
参政党
別姓制度には慎重で、戸籍や家族の一体感への影響を強く意識した議論をしています。賛否以前に「何を守るための慎重さか」を読み解く必要があります。
減税日本・ゆうこく連合
少なくとも公表されているアンケートや記事の範囲では、ジェンダー・多様性のまとまったマニフェスト記載を確認しにくい状況です(未掲載・調整中扱い)。投票判断としては“未提示”をどう受け止めるかが焦点になります。
日本保守党
LGBT理解増進法の改正、とくに児童への教育条文の削除を明記しています。「差別解消をどう進めるか」より、「教育現場に入れることへの警戒」を強く出す立場です。
社会民主党
選択的夫婦別姓、同性婚の法制化、事実婚の法的保護を推進し、女性の政治参画もセットで語ります。伝統的に人権と平等の軸が太い党です。
チームみらい
事実婚を選ぶカップルへの税制・社会保障・相続・共同親権など、生活の実務面から制度整備を組み立てています。別姓は“有力案”として多角的に検討し、同性婚も公式ページに明記があります。



















