【年金改革2025】各政党の評価と公約を徹底比較|基礎年金の底上げに対する立場の違いとは?

参院選2025:年金・社会保障「共通基盤」で浮かぶ与野党の対立

7月20日の参院選を前に、有権者にとって大きな争点となっている「年金・社会保障」。その柱となるのが、厚生年金の積立金を活用し、基礎年金の底上げを図るという制度改革です。NHKが14政党・政治団体を対象に実施したアンケートでは、自民・公明・立憲などが「評価する」と回答する一方、維新や共産など野党の多くは「評価しない」と明言。各党のスタンスやその背景を詳しく見ていきましょう。

年金・社会保障に関する各党の評価とその理由

政党評価主な理由
自民党大いに評価する基礎年金の底上げ措置や給付水準の確保が実現された
公明党大いに評価する年金加入者全員に共通する基礎年金の底上げの重要性が明確化
立憲民主党大いに評価する若者・現役世代の厚生年金・国民年金の増額を実現
社民党ある程度評価する老後の生存権保障に向けた方向性を示せた
国民民主党あまり評価しない安定財源や被保険者拡大など課題が残る
共産党あまり評価しない物価・賃金連動の年金引き上げが必要
みんなでつくる党あまり評価しない財源が未定で持続性に課題
再生の道あまり評価しない国庫負担確保と国民理解の不足
チームみらいあまり評価しない抜本改革案を先送りとの指摘
日本維新の会まったく評価しない支給年齢の引き上げや保険料納付期間延長など別議論が必要
れいわ新選組まったく評価しない積極財政・国債発行による根本的な引き上げを主張
参政党まったく評価しない厚生年金流用への反対、国費による賄いと運用見直しを訴え
日本保守党まったく評価しない現役世代の負担軽減につながらない改革との見解
NHK党まったく評価しない段階的な公的年金廃止、積立金による最低保障へ移行すべき

与党が一歩前へ:基礎年金「積立金活用」で底上げ実現

自民・公明・立憲が評価する大きな理由は、法改正によって「厚生年金積立金を使って基礎年金を底上げできる枠組みが設けられた」点。自民党は「給付水準の確保に配慮された改革」と評価。公明党は「加入者全体にメリットを及ぼす重要性が法文に刻まれた」とし、立憲は「現役・若年層への厚生年金・国民年金増額を実現した」と強調しています。

さらに、社民党も「老後の生存権保障という視座から、制度見直しの方向性を示せた」と一定の評価を示しています。

野党の反発:抜本改革か、応急処置か

一方、「評価しない」と答えた野党は、制度の持続性や財源の裏付け、議論の根本に疑問を呈しています。

  • 日本維新の会:支給開始年齢の引き上げや納付期間の延長など「別次元の議論」が先決と主張。
  • 国民民主党:財源確保や被保険者の拡大といった課題が未整理と指摘。
  • 共産党:物価・賃金上昇に応じた年金の継続的引き上げを強く求め。
  • れいわ新選組:税制改革や国債発行を含む積極財政が先行すべきだと提言。
  • 参政党:厚生年金積立金流用に反対し、国費で賄う構造改革を主張。
  • その他、みんなでつくる党、日本保守党、再生の道、チームみらい、NHK党なども「制度の持続性」「財源の不透明性」「抜本改革の先送り」を主な理由に、公約批判を展開。

補足情報:各党、きめ細かな制度戦略を提示

日本維新の会の「社会保障見直しプラン」

維新は厚生年金政策のみならず、医療・介護制度の改革を強く掲げています。OTC医薬品の保険適用除外、診療報酬の見直し、電子カルテ普及、オンライン診療推進など、「需要者(国民)視点」に基づく財源合理化と効率化を目的とします。

消費税減税の主張が台頭

立憲・共産・社民・れいわなど野党の一部は、消費税の軽減措置や廃止に舵を切るべきと主張。立憲は食料品への消費税減税を視野に入れ、共産は一律5%への引き下げを訴え。社民は消費税ゼロを明言、れいわは消費税廃止と現金給付を骨子に置いています。

社会保障負担の公平性問題もクローズアップ

ラジオ番組「大竹まことゴールデンラジオ」によると、低所得層ほど社会保険料負担が重く、実質手取りが増えない収入構造への批判が高まっています。こうした世帯を支える一方で、支払い能力に応じた応能負担に見直すべきという声は、政策議論の中心になりつつあるようです。

どう読む?今後の選挙展開と有権者の判断軸

今回の参院選では、年金改革をめぐる各党のスタンスが明確に“見える化”された格好です。特に「積立金活用」は、改革の実行性と財源の裏付けがセットで問われる重大テーマ。与党は現時点での底上げを評価し、安定財源は“今後検討”へと先送りしています。一方、野党は「抜本改革」「財源の確保」「現役世代の負担軽減」に重点を置き、より根本的な制度設計の見直しを訴えています。

消費税減税をはじめとする野党の主張は、わかりやすく有権者に響く政策ですが、一方で「将来の財源をどう確保するか」という課題は未だクリアされていないと言わざるをえません。与党にしても、積立金活用の次の一手、すなわち安定した持続財源の確立策を示さない限り、長期的な信頼の構築にはつながりにくいでしょう。

年金改革で問われる“リアルな持続性”

  • 「評価する」派(与党中心):実施できる年金改革として積立金活用が前進し、現役・若年層にも恩恵が期待できる。
  • 「評価しない」派(野党中心):抜本的に年金制度を見直すべきであり、応急対応では制度の持続性や公平性に疑義あり。
  • 消費税議論:減税を主張する野党と、現状維持で現金給付を主張する与党で二極分化。

有権者が注視すべきは、「今できる対処」と「これからの財源」—両者をどうバランスさせるか。そして、政策の中身だけでなく、誰が・どのようにその未来設計を描けるのか、見極めが求められます。

本記事では、各党の評価理由に加えて、維新や野党の補完的政策、また消費税改革をめぐる潮流と社会的背景を紹介しました。有権者の一助として、年金・社会保障制度をめぐる政策選択の視点を整理できれば幸いです。

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