【2025参院選】物価高にどう立ち向かう?各政党の対策と主張を徹底比較
- 2025/7/8
- 選挙

各党が選ぶ「物価高対策」その最優先課題とは?
物価上昇が家計を直撃するなか、2025年の参議院選挙を前にNHKが実施した政策アンケートでは、各政党・政治団体の物価高対策に対するスタンスが明らかになりました。政府が今、最優先で取り組むべき対策として最も多くの政党が挙げたのは「減税」でした。
アンケートは全14の政党・政治団体を対象に行われ、6つの選択肢の中から最も重視する政策を一つ選んでもらい、それぞれの理由や具体策もあわせて回答してもらう形です。
減税を掲げた9党 共通点は「即効性」と「生活支援」
「減税」を選んだのは、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組、参政党、日本保守党、社民党、みんなでつくる党、NHK党の9党にのぼりました。
立憲民主党は「食料品の消費税ゼロ%」や「ガソリン税の見直し」を通じて、生活に直結する価格を引き下げる考えです。
維新の会も「消費税ゼロ」を掲げ、「生活者と事業者の両方を守る」としています。
国民民主党は、所得税の基礎控除引き上げや消費税の時限的な5%引き下げ、さらにガソリン税の軽減など多面的な減税を訴えます。
れいわ新選組は「消費税は廃止すべき」と断言。「最低でも一律5%減税が必要」と強調しました。
社民党も「食料品の消費税ゼロ」に加え、「防衛費の削減や累進課税の強化」で財源確保を図るとしています。
参政党は、税金と社会保険料を見直し、「手取りで給与の3分の2が残る社会」を目指すとしました。みんなでつくる党は「減税は即効性があり、公平性にも優れている」と主張しています。
NHK党は「恒久的な負担減」を掲げ、「消費税を恒久的に5%へ引き下げる」としています。
なお、日本保守党も「減税」と回答したものの、具体的な施策内容についての記載はありませんでした。
賃上げを通じた物価対策を重視する自民・共産
一方、「賃上げ環境の整備」を重視すると回答したのは、自民党と共産党の2党。
自民党は「価格転嫁の徹底」や「税制支援」を通じて、中小企業を含む広範な賃上げを促す構えです。
共産党は「中小企業への直接支援」と「最低賃金を時給1500円に引き上げる」と具体策を示しました。
賃上げによる物価対応は、短期的な効果よりも中長期的に購買力を高め、持続的な経済成長を見据えたアプローチです。
支援の対象に違い 全世帯か低所得者か
物価対策として「全世帯への支援」が最優先としたのは公明党。
公明党は「減税と給付の組み合わせで、すべての世帯の可処分所得を底上げする」としています。
「低所得世帯への支援」を選んだ再生の道は、「より負担が大きい層に重点的に支援すべき」とし、支援の効率性を重視する姿勢を見せました。
また、チームみらいは「その他」を選びましたが、その理由は「低所得層支援と減税など複数の施策を、スピード感をもって一体的に進めるべき」と、包括的な対策を強調しています。
各党の物価高対策を比較表にまとめると
政党名 | 最優先対策 | 主な主張・具体策 |
---|---|---|
立憲民主党 | 減税 | 食料品の消費税ゼロ、ガソリン税の見直し |
維新の会 | 減税 | 食料品の消費税ゼロ、国民・事業者支援 |
国民民主党 | 減税 | 所得税・消費税・ガソリン税を多方面で減税 |
れいわ新選組 | 減税 | 消費税廃止。最低でも一律5%減税 |
参政党 | 減税 | 減税+社会保険料見直しで手取り増へ |
社民党 | 減税 | 食品無税、防衛費削減と累進課税強化で財源確保 |
みんなでつくる党 | 減税 | 即効性・公平性があり、内需刺激にも効果 |
NHK党 | 減税 | 消費税を恒久的に5%へ引き下げ |
日本保守党 | 減税 | 具体策の記載なし |
自民党 | 賃上げ | 中小企業支援・価格転嫁の徹底で賃上げ促進 |
共産党 | 賃上げ | 最低賃金1500円、中小企業へ直接支援 |
公明党 | 全世帯支援 | 減税と給付で可処分所得アップ |
再生の道 | 低所得支援 | 負担が大きい層への重点支援 |
チームみらい | その他 | 減税と支援を並行して迅速に展開 |
現実的な実施可能性は?財源・制度の課題も
減税は国民の支持を得やすい一方で、国家財政に与える影響は大きく、財源の裏付けが課題です。食料品の消費税ゼロやガソリン税の撤廃には数兆円規模の減収が想定され、法人税や所得税で補う場合には別の層への影響が生まれる可能性もあります。
また、賃上げ政策も、すぐに効果が現れるわけではなく、最低賃金引き上げによる中小企業の経営圧迫リスクなど、慎重な制度設計が求められます。
有権者が問うべき視点とは
今回のアンケート結果から見えてくるのは、「国民の生活を守るために、どの政党が現実的かつ持続可能な道を示せるか」という点です。即効性だけでなく、制度の安定性、財源の現実性まで見極めることが、有権者にとって重要な判断材料になります。
物価上昇の波は続いています。一時的な対処ではなく、根本的な経済対策として各党の提案をしっかり比較し、選挙の一票に反映させていく必要があります。