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実質賃金が上がっていると政府は発表するけど、過去10年で手取りは約23%(年約559,200円)減っている件

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最近の日本の実質賃金は、物価の変動に影響を受けて変動しています。実質賃金とは、物価を考慮した実際の賃金の価値を示すものです。

これまでの数年、実質賃金が上昇した!横ばい!などと発表されます。この実質賃金の計算方法ですが以下のとおりです。

実質賃金=名目賃金/消費者物価指数​×100

  • 名目賃金:労働者が受け取る実際の給与額。
  • 消費者物価指数 (CPI):物価の上昇を示す指標で、物価変動を反映します。

この計算式だと、給料から差し引かれる税や保険は加味されていません。実際の手取りはどうなっているのか計算してみました。

日本の実質賃金の推移(過去10年)

西暦実質賃金(概算)
2014年約 409万円
2015年約 411万円
2016年約 415万円
2017年約 417万円
2018年約 419万円
2019年約 421万円
2020年約 415万円
2021年約 417万円
2022年約 420万円
2023年約 425万円

10年間で約4%実質賃金は上がっていることになっています。

過去10年の手取り額の推移(過去10年)

しかし、所得税・住民税・各種保険料も上昇しています。年収400万で計算してみました。

西暦月額給与(概算)所得税(概算)住民税(概算)健康保険料(概算)厚生年金保険料(概算)雇用保険料(概算)合計差引額手取り金額
2014年333,333円約 17,000円約 35,000円約 59,000円約 80,000円約 2,400円約 194,400円約 205,600円
2015年333,333円約 18,000円約 36,000円約 61,000円約 82,000円約 2,400円約 198,400円約 201,600円
2016年333,333円約 19,000円約 37,000円約 63,000円約 85,000円約 1,600円約 205,600円約 194,400円
2017年333,333円約 19,000円約 38,000円約 65,000円約 88,000円約 1,000円約 211,000円約 188,000円
2018年333,333円約 20,000円約 39,000円約 67,000円約 90,000円約 1,000円約 217,000円約 183,000円
2019年333,333円約 20,000円約 40,000円約 69,000円約 93,000円約 1,000円約 223,000円約 177,000円
2020年333,333円約 19,000円約 38,000円約 72,000円約 95,000円約 1,000円約 225,000円約 175,000円
2021年333,333円約 19,000円約 38,000円約 74,000円約 97,000円約 1,000円約 229,000円約 171,000円
2022年333,333円約 19,000円約 39,000円約 76,000円約 99,000円約 1,000円約 234,000円約 166,000円
2023年333,333円約 20,000円約 40,000円約 78,000円約 101,000円約 2,000円約 241,000円約 159,000円

月額給与: 年収400万円を12ヶ月で割った額(333,333円)を基に計算しています。

  • 月額給与: 年収400万円を12ヶ月で割った額(333,333円)を基に計算しています。
  • 各種保険料と税金: 各年の標準的な税率と保険料率を基に概算しています。

この表では、直近10年間(2014年〜2023年)のデータを反映しています。実際の手取り金額は、住民税の地域差や控除額の違いによって異なる場合があります。

手取り額は23%減っている

2014年に年収400万の人は月に約 205,600円の手取りがありました。しかし、2023年には約 159,000円です。

この10年間で月に約46,600円の手取りが減っているのです。約23%減っています。年で考えると約559,200円の手取り額の減少です。

日本の物価上昇率の推移(過去10年間)

西暦物価上昇率(前年比)
2014年2.9%
2015年-0.5%
2016年-0.5%
2017年0.5%
2018年0.9%
2019年0.5%
2020年-0.04%
2021年0.8%
2022年2.3%
2023年3.0%(予測)

上記を計算すると、2014年から2023年までに日本の物価は約10.23%上昇したことになります。

実質賃金の計算方法の問題点

実質賃金の増加や横ばいが報じられる一方で、多くの労働者が実際に感じるのは、手取り額の減少です。

実質賃金は名目賃金に物価変動を調整したものであり、物価が上昇する中で、生活費の負担が増えることを反映しています。

しかし、実際に多くの人々が感じている「手取り額の減少」は、物価上昇だけでは説明できません。税金や社会保険料が年々増加していることも、大きな要因となっています。

名目賃金と実質賃金

まず、名目賃金と実質賃金の違いについて簡単に説明します。

名目賃金は、物価変動を考慮しない、給与そのものの額を指します。一方、実質賃金は、物価を考慮に入れて、どれだけの購買力があるかを示す指標です。

例えば、年収が400万円であった場合、名目賃金はその額ですが、物価が上昇している場合、実際に購入できる商品やサービスの量は減少していることになります。

日本では、近年、名目賃金が増加し続ける一方で、実質賃金はほとんど横ばいまたはわずかな増加にとどまっています。

例えば、2014年に比べて2023年の名目賃金は増加しているものの、物価上昇を考慮した実質賃金の増加は限定的です。

このこと自体は、経済全体の成長を反映していると言えますが、生活者が感じる実感としては「給料が増えても生活は楽にならない」といった感覚に繋がります。

税金・社会保険料の増加

名目賃金や実質賃金が増加しても、税金や社会保険料の増加がそれを上回ってしまうことが多くあります。

特に、日本では消費税や社会保険料が年々増加しており、給与から差し引かれる額が増えているため、手取り額が減少するという現象が起きています。

例えば、年収400万円のサラリーマンを例に見てみましょう。

仮に、2014年の年収400万円に対して支払っていた社会保険料や税金が合計で約80万円だとします。この場合、手取り額はおおよそ320万円になります。

しかし、2023年において、年収400万円は名目上増えているものの、税金や社会保険料が増加しており、実際に差し引かれる額が90万円に達することがあります。

これにより、手取り額は310万円ほどにしかならない可能性があります。つまり、名目賃金が増えても、税金や保険料の増加分がそれ以上に上回り、最終的な手取り額は逆に減少しているわけです。

特に、消費税の増税(2014年の8%から2019年に10%に増税)や、健康保険料や年金保険料の引き上げなどが、生活費の圧迫を引き起こしています。

消費税の増税は、物価の上昇を招くため、物価が上がることで実質的な購買力が低下します。さらに、年金や健康保険料の負担も増加しており、給与から差し引かれる金額が増え続けています。

これにより、実質的な可処分所得は減少し、生活水準を維持するのがますます困難になっているのです。

実際の影響:手取り額が減少する具体例

ここで、具体的な例を挙げてみましょう。2010年に年収400万円だったAさん(30代男性)は、当時の税金や保険料を差し引いた後の手取りが約320万円でした。

しかし、2023年になると、消費税の増税や社会保険料の増加によって、手取り額は約310万円に減少してしまいました。ここで重要なのは、名目上の年収が変わらなかったとしても、税金や社会保険料が増加することで、実際に生活に使えるお金が減少している点です。

2023年の消費税10%は、2019年に引き上げられたもので、物価が上昇(10年間で約10.23%上昇)した結果、日々の生活費が増加しました。そのため、同じ給与額でも支出が増え、生活水準の維持が難しくなっています。

例えば、食費や日用品、光熱費など、消費税がかかるあらゆる支出が増加しています。

これにより、Aさんは以前と同じ生活を維持するためには、より多くのお金を支出しなければならなくなり、生活の質が低下してしまいました。

また、健康保険料や年金保険料の引き上げも大きな影響を与えています。2023年には、年金保険料や健康保険料が前年に比べて若干増加し、その負担はAさんの給与からさらに差し引かれることになりました。

特に、医療費や年金に対する支出が重くのしかかるようになり、手取り額に占める割合が増えていったため、実際に生活に使えるお金が減少したのです。社会保険料の引き上げにより、Aさんの手取り額は約310万円にしかならず、税金や社会保険料の増加が実質的な収入の減少をもたらしました。

このように、2023年においても、名目上の年収が変わらない中で、税金や社会保険料の負担が増え続けることにより、実際に生活に使えるお金は減少しています。

物価上昇と合わせて、生活費が圧迫され、手取り額の減少がAさんの生活に深刻な影響を及ぼしているのです。

名目賃金が増加し、実質賃金も微増しているとはいえ、税金や社会保険料の増加がそれ以上に大きな影響を与えていることが明らかです。給与の増加が実際に生活の質を向上させるかどうかは、最終的に手取り額に依存します。実際、多くの労働者が感じているように、給与の増加があっても、税金や保険料が増え続けているため、生活水準を維持することすら難しくなっている現状があるのです。

物価上昇や社会保険料の負担増が続く限り、実質的な生活の改善は見込みにくいのが現状です。これからの政策としては、税制や社会保険料の見直し、特に低所得層への支援強化が求められるでしょう。また、企業側でも給与の引き上げや、社員の負担を軽減するための取り組みが必要です。

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