ニセコバブル崩壊の兆し?中国系高級リゾートが経営破綻、地域経済に不安拡大

ニセコバブルの終焉か?中国系高級リゾートが経営破綻、地域経済に不安

北海道ニセコで進行していた中国系資本の高級リゾート開発が、資金難により頓挫した。2025年4月、東京地方裁判所は「ラ・プルーム・ニセコリゾート特定目的会社」の破産手続きを開始。建設途中で工事がストップし、地域経済に影響を与えかねない事態となっている。

夢の高級リゾートが無残な廃墟に

「ラ・プルーム・ニセコリゾート特定目的会社」は、2020年に設立された中国系企業が出資する開発プロジェクトだった。ニセコ町東山地区に建設が進められていたこのリゾートは、219室のコンドミニアムと5棟のプライベートヴィラを備え、2023年の開業を目指していた。

しかし、資金繰りの悪化から2024年秋には工事が中断。建設会社への支払いが滞り、債権者である建設会社が裁判所に破産を申し立てた結果、2025年4月に破産手続き開始が決まった。破産管財人の代理人によると、「現地確認を終え、今後は関係各所と協議しながら事業継続を模索する」としている。

外国資本に頼るニセコ、地元経済はどうなる?

ニセコは、かつては静かなスキーリゾートだった。しかし2000年代以降、海外からの観光客、とりわけオーストラリア人スキーヤーを皮切りに、外国人投資家が次々とこの地に資金を投じた。最近では中国、香港、韓国からの投資が急増し、高級コンドミニアムやリゾートホテルが次々と建設された。

外国資本の流入は地域経済を潤す一方で、地価や人件費の急騰を招いた。倶知安町で飲食店を営む男性は、「今では冬季のアルバイトの時給が2,000円を超えることも珍しくなく、英語が話せるスタッフなら3,000円も出さざるを得ない」と嘆く。メニューも「味噌ラーメン2,000円」「ハンバーガー3,000円」という価格帯が当たり前になり、「ニセコ価格」と揶揄される状況だ。

チャイナマネーの崩壊、地域に広がる不安

今回のリゾート破綻は、ニセコが抱える「外国資本依存」のリスクを鮮明にした。これまで、豊富な資金で地域は潤ってきたが、その裏には経営破綻や計画の頓挫というリスクも潜んでいた。

地元住民からは「このまま放置されたらニセコのイメージが悪くなる」「外国資本に依存しすぎた結果ではないか」という声も聞かれる。廃墟化したリゾートが観光客に悪印象を与えることを懸念する声もある。

また、地元自治体も対応に追われている。ニセコ町は「カレーライス物価」という独自の物価指標を公表し、物価高のイメージ払拭を目指しているが、SNSでは「ニセコはもう外国のリゾート」と揶揄する声が相次いでいる。

持続可能な地域経済を目指して

今回の破産は、ニセコ地域が外国資本に依存しすぎたリスクを浮き彫りにしたが、一方で新たな地域経済の在り方を模索する契機にもなり得る。地元自治体は、地域住民と観光業者が一体となり、持続可能な観光業を目指すことが求められている。

破産管財人は「事業を継続できるかは現時点では不透明だが、地域への影響を最小限に抑えるよう努めたい」と強調している。ニセコは「バブルに踊らない観光地」への転換を図ることができるのか、その行方が注目される。

参考サイト
<a href="https://www.sankei.com/article/20250506-KCSWUN7TQVECTPVW6GCJTUFPJM/" target="_blank" rel="noopener" title="">「ニセコバブル」崩壊の前兆か、中国系高級リゾートが経営破綻 チャイナマネーに陰り</a>

関連記事

おすすめ記事

  1. 新型ウイルス「HKU5-CoV-2」が中国で発見 致死率最大35%のMERS系、ヒト感染リスクに警戒
    新型コロナウイルス「HKU5-CoV-2」発見:中国で確認された“次のパンデミック候補”に警戒 …
  2. 中国バブル崩壊、じわじわ日本に影響拡大 ニセコのリゾート建設中断や観光キャンセル続出 中国で…
  3. 「無償化」は本当に“タダ”なのか――社会保障と税負担のリアル 「社会保障の充実」は誰もが口に…
  4. 中国空母「遼寧」が東シナ海で艦載機を発着艦 自衛隊は即応対応 中国海軍の空母「遼寧」が202…
  5. 近年、全樹脂電池技術に関する機微情報が中国企業に流出した疑惑が浮上し、経済安全保障上の重大な問題と…

新着記事

  1. ニセコ町でも無許可森林伐採発覚 中国系企業が届け出なしで開発、町は復旧要請へ
    中国系企業による無届け伐採がニセコ町でも発覚 町は復旧を要請へ 北海道・倶知安町で明るみに出…
  2. 参院選比例特定枠とは
    2025年の参議院選挙を前に、改めて注目を集めているのが「特定枠」と呼ばれる比例代表制度の一部です…
  3. 中国が東シナ海で資源開発を既成事実化 日本政府は“抗議止まり”の弱腰外交に終始 日本と中国が…
  4. トランプ氏「成功した」 米軍、イランの核施設を相次ぎ空爆 米国が再び中東に緊張をもたらす一手…
  5. イスラエル軍、イランの原子炉を空爆 イランは報復で病院攻撃 中東緊張が最悪の局面へ イラン…
  6. コロナワクチン後遺症に新事実?イェール大学が“スパイクタンパク長期残存”を指摘 新型コロナウ…
  7. 【中国が主導する太陽光の新時代】ペロブスカイト太陽電池、ついに産業化のステージへ 再生可能エ…
  8. トランプ氏がG7サミットを途中退席 世界に波紋、日本への影響も懸念 アメリカのドナルド・トラ…
  9. 日頃投稿していただいている活動・行動情報にGood・Bad評価をすることができる用になっております…
  10. 日本の「失われた30年」とODAのジレンマ 日本は1990年のバブル崩壊以降、長らく経済成長…
ページ上部へ戻る