
米上院でロシア追加制裁法案を提出
ウクライナ和平交渉促進へ、超党派で圧力強化
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、アメリカ議会でロシアへの追加制裁を科す動きが加速している。共和党のリンゼー・グラム上院議員が主導する新たな法案が4月1日、上院に提出された。
法案の狙いは、ロシアに対して和平交渉を進めるよう強い圧力をかけること。ロシアが交渉を拒否したり、将来的に和平合意を破った場合に自動的に発動する内容となっている。グラム氏によれば、すでに共和・民主両党の上院議員72人が法案に賛同しており、審議の妨害とされる「フィリバスター」も回避可能な見通しだ。
法案の内容
ロシア産エネルギーの取引に最大500%関税
今回の法案では、ロシア単体への制裁にとどまらず、ロシア産の石油や天然ガス、ウランを知りながら取引した第三国に対しても厳しい措置が取られる。具体的には、最大で500%の関税を課すという異例の対応が盛り込まれている。
また、アメリカ国民によるロシア国債への投資も禁止する内容が含まれており、金融や資本市場への波及効果も見込まれる。エネルギーと金融の両面から、ロシア経済を締め上げる構えだ。
トランプ前大統領の対応が焦点に
支持明言せず、法案の行方に影響も
法案の提出には、トランプ前大統領の影もちらつく。グラム氏は、「この法案は、トランプ氏が掲げる“24時間以内の戦争終結”に向けた交渉のカードになる」と語るが、トランプ氏本人は法案への賛否を明言していない。
今後の上院での採決は、トランプ氏の意向に左右される可能性がある。一方、下院では共和党のフィッツパトリック議員が同様の内容の法案を提出しており、こちらも超党派の支持を得ている。
和平交渉の現実と国際社会の圧力
「制裁ではなく交渉を」vs「圧力しか残っていない」
ロシアが2022年にウクライナに侵攻して以来、国際社会は度重なる制裁で対応してきた。しかし、戦局に大きな変化は見られず、和平交渉も停滞している。今回の法案は、交渉を動かす新たな“圧力カード”となるかが注目される。
グラム氏は、「プーチンに選択を迫る最後のチャンスだ」と語るが、一部の民主党議員からは「対話の余地を残すべきだ」との声も上がっている。外交と制裁のバランスをどう取るかが、今後の鍵となる。
- 米上院でロシアに追加制裁を科す法案が提出
- ロシアの和平交渉拒否や合意破棄を想定し自動発動
- 石油・天然ガス取引に最大500%の関税、金融投資も制限
- 上院72人の賛同でフィリバスター回避の見通し
- トランプ氏の姿勢が採決可否を左右する可能性