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【ウクライナ、領土譲らず和平進展せず】ロンドン会合で米が激怒 両国に深まる不信
ウクライナをめぐる和平協議がまたしても暗礁に乗り上げた。4月23日、英ロンドンで行われた米英仏独などによるウクライナ和平を協議する会合は、米国務長官が直前に欠席を表明したことで「外相級」から「高官級」へと格下げされ、明確な成果を出せないまま終わった。
背景には、米国が提示した和平案をウクライナが突っぱねたことで、トランプ大統領が激しく反発したことがある。和平どころか、米ウクライナ関係の深い亀裂が浮き彫りになった格好だ。
【米国案にウクライナが拒絶】「譲れぬ一線」に怒りあらわ
米国が主導する和平案の骨子は、ロシアが実効支配するウクライナ東部・南部4州や2014年に併合したクリミアについて、「現状を追認する」というものだった。さらに、ウクライナのNATO加盟断念も含まれていたという。
当然ながら、ウクライナにとっては到底受け入れられない内容だ。ゼレンスキー大統領は「領土を譲るつもりはない。憲法にも違反する」と真っ向から拒否した。
この姿勢に、トランプ大統領は苛立ちを隠さない。自身のSNSには「ゼレンスキーは何の切り札もない男だ。平和を選ぶか、戦って国を失うかだ」と痛烈なコメントを投稿。和平実現に向けた期待は一気にしぼんだ。
【ロシアと直接交渉の動きも】米外交に転換の兆し
和平協議が難航する中、米国は新たな一手を模索し始めている。アメリカのウィットコフ中東担当特使が、25日にロシアのプーチン大統領とモスクワで会談する見通しが浮上したのだ。
これにより、「ウクライナを飛ばしてロシアと直接話す」という構図が現実味を帯びてきた。米政府内部では、「ゼレンスキーは現実を直視していない」「今後はロシアとの直接交渉が必要」との声も上がっているという。
ただ、これが事実であれば、ウクライナ側にとっては強い不信と孤立感を招く展開だ。和平をめぐる主導権は、米ウクライナの連携ではなく、米露の駆け引きの中で動き始めたようにも見える。
【欧州は板挟み】領土問題には慎重、和平は急ぎたい
欧州各国も、この問題では一枚岩ではない。ドイツやフランスは、戦争の長期化により欧州全体が不安定化するリスクを懸念しており、「ある程度の譲歩はやむを得ない」との声も聞かれる。一方で、「ロシアの侵略を認めるような形には同意できない」との立場も根強く、各国の間でも温度差があるのが実情だ。
ゼレンスキー大統領は会合後、「感情的な場面もあったが、各国が一堂に会して話せたことは意味がある」と述べ、引き続き多国間での協議を重視する考えを示した。
和平遠のく中で問われる覚悟
結局のところ、和平の実現にはウクライナとロシア双方の譲歩が不可欠だ。だが、現時点でその道筋は全く見えていない。
ゼレンスキー氏にとって、領土の放棄は国民の支持を失い、政権の命取りにもなりかねない。一方の米国は、自らが支援してきた戦争が泥沼化し、対ロ戦略の再構築を迫られている。
今回のロンドン会合は、その現実を改めて突きつけた格好だ。和平への道のりは、ますます険しさを増している。
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