
検察の「沈黙の圧力」 性暴力事件の被害女性に送られた“口止めメール”の衝撃
大阪地検の元トップ・北川健太郎被告(準強制性交罪で起訴)による性暴力事件を巡り、検察の組織対応に批判が高まっている。今度は大阪高等検察庁の幹部が、被害女性に対して“口外しないように”と圧力をかけるようなメールを送っていたことが判明した。
被害女性とその弁護団が15日、大阪地裁で記者会見を開き、「これは口止めであり、脅しに等しい」と厳しく抗議した。
【告訴された副検事は不起訴処分 「都合の悪いことを隠すためではない」と高検】
事件の発端は、大阪地検の女性検事が、当時検事正だった北川被告から性暴力を受けたと訴えたことにある。その後、女性はさらに、事件と直接関係のない副検事が自分の実名や中傷を同僚に広めていたとして告訴していた。
大阪高検は副検事の行為自体は認めながらも、3月に不起訴処分とした。
ところが、それに対して女性が抗議の意思を示すと、今度は大阪高検の担当部長が問題のメールを送ってきた。
メールには、「不起訴処分は何かを隠すためではない」「発信を繰り返せば信用を貶める行為と評価されかねない」などと記されていた。また、「これは口止めでも脅しでもない」「そのように発信することも控えてほしい」との一文も含まれていた。
【「絶望し、恐怖した」 検察幹部からのメールに被害女性は涙】
会見で女性は、「絶望し、恐怖し、ひどくおびえた」と涙ながらに語った。「私は“職務”として被害者をやっているわけではありません。人生そのものを壊されたんです」と心の内を明かした。
弁護団の奥村克彦弁護士は、「このメールは、組織的な威圧や口止めとして十分に評価できる内容だ」と断じた。検察の中で被害者が声を上げた途端、今度は“組織”そのものがその声を封じ込めようとする――その構図があらわになった。
【検察の信頼が揺らぐ 「内部の不祥事には甘いのか」】
検察といえば、社会正義を担う組織として、市民の信頼を得てきた。しかし、自らの組織内で起きた不祥事に対して、こうした“身内かばい”ともとれる対応が続くならば、その信頼は足元から崩れかねない。
被害女性への対応についても、「二次被害に無自覚すぎる」「被害者の声を封じることが当たり前の文化が温存されている」といった批判が、専門家や人権団体からも上がっている。
【「被害者の声に耳を」 第三者調査と透明性の確保が急務】
現在のところ、大阪高検はこのメールについての説明や謝罪は行っていない。被害女性は「自分のことだけでなく、今後同じような目に遭う人を減らしたい」と訴えた。
検察が信頼を回復するためには、まず何よりも被害者の声に真摯に向き合い、第三者による調査と透明性ある対応を進めるべきだろう。
「正義を実現する組織として、今のままで本当にいいのか」――社会全体がその問いを突きつけている。
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