報復の応酬、関税戦争再び 中国、対米関税125%に引き上げ

米中貿易戦争が再燃 中国、対米関税を125%に引き上げ

米中間の貿易対立が、再び火花を散らしている。

中国政府は4月11日、アメリカからの全輸入品に対して追加関税を125%に引き上げると発表した。発動は翌12日。これは、トランプ米大統領が先に中国製品への関税を引き上げたことに対する、いわば“応戦”だ。

関税引き上げの背景

今回の措置の発端は、トランプ大統領が打ち出した“相互関税”政策にある。同政権は9日、60カ国超を対象に最大25%の関税を課す新方針を公表。中国に対しては、これまでの措置に加えて大幅な関税上乗せを決定した。

この動きに対し、中国政府は「一方的かつ差別的な通商措置」と強く反発。報復措置として、米国製品への追加関税率を大幅に引き上げることを決定した。新たな関税率は事実上の“全面報復”と言える水準で、従来の84%から125%への大幅アップとなる。

報復関税の余波

この“関税戦争”の再燃により、国際市場は揺れている。11日の外国為替市場では、人民元が一時1ドル=7.35元台に下落。これは2007年以来の元安水準であり、為替政策にも注目が集まっている。

一方、アメリカ側の反応は冷ややかだ。ベッセント米財務長官は中国の対応に「失望した」とコメント。「中国は経済的に損をすることになる」と強い口調で批判し、中国企業の米国市場での上場継続も“選択肢の一つ”と示唆した。

市場と世界経済への影響

東京株式市場も無風ではいられなかった。11日の取引では日経平均株価が一時2000円近く下落し、投資家心理は冷え込んだ。企業の輸出収益が圧迫されるとの見方が広がった結果だ。

関税の応酬は今後も続く可能性が高いとされ、専門家の間では「世界経済への波及リスク」が警戒されている。すでに米中双方の企業からは「調達コストの上昇」や「市場喪失」の声が上がっており、事態の長期化を懸念する向きは強い。

国際社会に求められる冷静な対応

今回の米中の関税対立は、単なる二国間の摩擦にとどまらず、グローバルな経済の不確実性を高めている。日本を含む各国は、通商政策の舵取りに慎重さが求められる局面だ。

今後、米中が歩み寄る兆しを見せるのか、それともさらに関係が悪化するのか──。世界は固唾を呑んで、次の一手を注視している。

【速報】中国 対米関税125%に引き上げ 報復関税の応酬激化

関連記事

おすすめ記事

  1. 再生可能エネルギーの普及促進を目的とした「再エネ賦課金」が、国民の経済的負担を増大させているとの指…
  2. 「ニセコ化」した野沢温泉村で現れる観光公害とその影響 長野県の野沢温泉村は、昔から温泉と自然…
  3. 手ぶら観光の裏側で起きた“想定外”の迷惑行為 世界遺産・平等院が荷物預かりを中止した理由 観…
  4. 日本の温泉資源、オーバーツーリズムによる危機的状況 日本各地に点在する約2万7,000の温泉…
  5. 大阪で拡大する“民泊マンション” 住民からは「制度に欠陥」と不安の声 訪日観光客の急増ととも…

新着記事

  1. 副首都構想のいま—維新は何を実現したいのか 日本維新の会が掲げる「副首都構想」は、東京一極集…
  2. 台湾・国史館の機密解除 「便衣」潜入と“相互不侵”を示す電報群 台湾の国史館(國史館)と台湾…
  3. [ays_poll id=8] …
  4. 参院選で示された「減税」への圧倒的な民意 7月20日に投開票が行われた参院選では、ガソリンの…
  5. 日本のODAは10年で36兆円超に増加
    日本のODA支出は10年で36兆円規模へ 日本政府が海外に対して行ってきた政府開発援助(OD…
  6. 中国大使館が呼びかける「中国人襲撃への警戒」 在日中国大使館が8月18日に発表した注意喚起が…
  7. 重要な土地を外国資本に奪われるリスク 政府の動きの遅さが招く“静かなる有事” 政府が初…
  8. 米ペンシルベニア州USスチール工場で爆発 死者2人・負傷10人 日本製鉄傘下で発生 米国東部…
  9. 日本移住で大学まで学費無料?中国で密かに広がる“教育支援”悪用の動き 厚生労働省の統計によれ…
  10. 日米関係に新たな火種か 米国が日本製品に15%の追加関税を発動 「合意」との齟齬に懸念広がる …
ページ上部へ戻る