
中国、海底ケーブル切断装置を開発:通信インフラに対する懸念高まる
中国船舶科学研究センター(CSSRC)が開発した小型の海底ケーブル切断装置が注目を集めています。この装置は、海底に設置された最も強靭な通信ケーブルや電力ケーブルを切断できる能力を持ち、特に深海での作業が可能である点が特徴です。香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は、この技術が世界的に重要なネットワークに影響を与える可能性があり、懸念が高まっていると報じています。
深海での作業が可能:新技術の詳細
CSSRCの新しい切断装置は、最大水深4,000メートルで作業ができる能力を持ち、鋼鉄やゴム、ポリマーで覆われた海底ケーブルをターゲットにしています。装置はダイヤモンドコーティングされた研削砥石を用いて毎分1,600回転し、ロボットアームによって高精度に操作されます。これにより、非常に高い水圧の環境下でも安定して作業を行うことが可能です。この技術は、中国の有人および無人潜水艇との統合も視野に入れて設計されています。
台湾近海での不審なケーブル損傷事案:新技術への懸念
台湾近海では、中国籍の貨物船による海底ケーブル損傷の疑いが浮上しており、台湾の沿岸警備当局が捜査を開始しています。2月25日には、中国人乗組員が乗る船が台湾本島と澎湖諸島を結ぶ通信ケーブルを損傷させた疑いで調査が行われました。また、バルト海やノルウェー沖などでも海底ケーブルの損傷事例が相次いでおり、これらの行動が意図的なものである可能性が指摘されています。
「重要な海底ネットワークを混乱させる可能性」:香港紙の警告
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は、CSSRCが開発した海底ケーブル切断装置について、「重要な海底ネットワークを混乱させる可能性のある資産を公開した初のケース」と警告しています。特に、米国の戦略拠点であるグアム近郊でケーブルが切断されると、通信インフラに重大な影響を及ぼす恐れがあると伝えています。これにより、地政学的な危機の際には、世界全体の通信が不安定になる可能性が懸念されています。
CSSRCの開発チームの主張:海洋資源開発に貢献する可能性
CSSRCの開発チームは、この切断装置が海洋資源開発に役立つと主張しています。しかし、国際社会では、商業的な技術が軍事的な目的に使用されるリスクが高まっていると懸念されています。この新しい技術が、国際的な安全保障問題を引き起こす可能性があることから、監視体制の強化が求められています。
海底ケーブルの安全確保:国際的な協力の重要性
海底ケーブルは、インターネットや国際通信の95%以上を支える重要なインフラです。その安全性を確保することは、国際社会にとって最優先の課題です。万が一、これらのケーブルが損傷を受けると、世界の通信が麻痺する可能性があります。このため、各国は海底ケーブルの保護対策を強化する必要があります。また、商業用技術が軍事目的で利用されるリスクを低減させるための国際的な監視体制の構築も急務です。